彫刻家・田辺光彰氏が3月30日、肺炎のため死去した。享年76歳。神奈川県出身。多摩美術大学彫刻科卒業。イサム・ノグチに影響を受け、1968~75年世界50カ国を巡り異文化に触れる。78年にギャラリー・オカベで初個展開催。79年第1回ヘンリー・ムーア大賞展ジャコモ・マンズー特別優秀賞受賞。80年第7回神戸須磨離宮公園現代彫刻展宇部市野外彫刻美術館賞受賞。87年以後「野生稲の自生地保全」を理念に人類の生存に警鐘を鳴らし、稲籾をテーマとした制作やプロジェクトを国内外で行う。
近年はオーストラリアにて「種の保全」を提唱し、野生稲の籾の形を長さ82メートルの石彫作品に制作した。主にステンレス鋳造による大スケールのモニュメントや作品を日本はじめ東南アジア、オーストラリアなどに設置した。主な作品に83年「さく」(佐久市立近代美術館油井一二記念館前庭)。87年〈遙かなるもの・横浜〉「貝」「花壇」(横浜本牧埠頭突堤)。87年「SEOUL・籾・熱伝導」(韓国国立現代美術館)。88年「直江津」(新潟県直江津港)。2002年「メコンリバー」(横浜市立下田小学校)、「KADIMAKARA(爬虫類・MOMI‐2006)」(マリーバ・ウェットランド、オーストラリア)など。日吉の森庭園美術館(2014年開設、横浜市)に田辺光彰美術館がある。
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