2つのシンポジウムを加筆収録、多角的な視点で時代を検証
平成が始まった1989年から「ゼロ年代」と謳われる2000年代に至る日本のアートシーンを検証する書籍「20世紀末・日本の美術―それぞれの作家の視点から」が4月15日に刊行される(※)。
同書はマンションの間取り図をモンドリアンのように描く《COMPOSITION TOKYO》や、日本固有の文化である「顔文字」を分解し再構築する《EMOTION》シリーズなど、日本画の技法を使いながら、ポップな表現で描かれた絵画作品を制作している美術家・中村ケンゴが編著を担当。2012年に銀座のメグミオギタギャラリーで開催された同名のシンポジウム「20世紀末・日本の美術―それぞれの作家の視点から」(第1部)と、同年の横浜美術館「奈良美智展」トーク・シリーズとして開催された「20世紀末・日本の美術―何が語られ、何が語られなかったのか」(第2部)の2つのシンポジウムを基に構成。著者をはじめ、現代美術作家・眞島竜男、画家・永瀬恭一、美術編集者/評論家・楠見清(第1部)、横浜美術館主任学芸員・木村絵理子(第2部)が名を連ね、第1部では1989年から2001年まで、第2部では1995年から2003年までを取り上げ、当時のアートシーンを検証していく。
また各年の社会情勢とともに、美術界の重要な出来事がピックアップされた年表を掲載。このほかエッセイ・論考として「未知の空気の追体験―平成の日本美術形成史」(小金沢智)、「美術館建築ワースト/ベスト1? 」(永瀬恭一)、「アート系ウェブサイトの黎明期」(中村ケンゴ+永瀬恭一)、「ポストモダンなコンテンポラリー/現前するコンテンポラリー」(対談:眞島竜男×中村ケンゴ)なども収録されており、整理され切っているとは言えない90年代~00年代アートシーンに多角的な視点で切り込む内容となっている。
【編著】中村ケンゴ
【共著】眞島竜男、永瀬恭一、楠見清、木村絵理子、小金沢智
【発行】アートダイバー
【価格】1,800円(税抜き) モノクロ、288ページ
【ISBN】978-4-908122-01-9
【サイズ】四六判(単行本サイズ、188×128mm)
※ART DIVER公式サイトにて先行販売中
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