「木造虚空蔵菩薩立像」(醍醐寺)、「木造弥勒仏坐像」(東大寺)が国宝に
文化審議会(宮田亮平会長)は、3月13日の文化審議会文化財分科会を経て、〈彫刻〉の重要文化財「木造虚空蔵菩薩立像」および「木造弥勒仏坐像」(各一躯)を国宝に、39件の美術工芸品を重要文化財に指定することを、下村博文・文部科学大臣に答申した。
「木造虚空蔵菩薩立像」は、京都市の宗教法人醍醐寺が所有する、腕から垂れる天衣まで一材より彫り出された菩薩像。衣のひだが複雑に乱れる様子を克明に刻み出す表現が見事で、平安時代前期彫刻の名作として知られている。観音像として重要文化財の指定を受けているが、最近の研究で、虚空蔵菩薩像として伝えられていたことが判明した。
宗教法人東大寺(奈良市)が所有する「木造弥勒仏坐像」は、東大寺法華堂に伝来した弥勒仏像である。鎌倉時代には、同寺の創建に関わった良弁僧正が自ら造ったという伝説を伴い、あつく信仰されていたことが知られている。頭部を大きく、上半身を幅広に造り、小さな像とは思えない雄大な造形を示すことから、「試みの大仏」(=大仏を造るにあたっての試作品)という呼び名がある。
また、重要文化財は「紙本著色病草紙断簡(背骨の曲がった男)」(国所有)や「紙本金地著色江戸名所風俗図 八曲屏風 一双」(出光美術館所有)など〈絵画〉より8件、宗教法人若松神社(大津市)所有「木造獅子狛犬」(一対)など〈彫刻〉より7件、ほか〈工芸品〉2件、〈書跡・典籍〉3件、〈古文書〉5件、〈考古資料〉6件、〈歴史資料〉8件の計39件が指定された。新規指定件数と合せると美術工芸品の国宝は974件、重要文化財は10,612件となる。なお、新指定の国宝・重要文化財は、4月21日から5月10日まで、東京国立博物館で特集展示される。
特集展示「平成27年 新指定国宝・重要文化財」
【会期】2015年4月22日(水)~5月10日(日)
【会場】東京国立博物館 本館8室・11室(東京都台東区上野公園13-9) TEL03-5777-8600(ハローダイヤル)
【TEL】03-5777-8600(ハローダイヤル)
【休館】4月27日(月)、5月7日(木)
【開館】9:30~17:00 (金曜は20:00まで、土曜、日曜、祝日、休日は18:00まで。入館はそれぞれ閉館30分前まで)
【料金】一般620円 大学生410円 高校生以下および満18歳未満、満70歳以上無料
【関連リンク】東京国立博物館