時空を越えた普遍的な美を描き出す
約4カ月にわたる工事期間を経て、4月25日(土)にリニューアルオープンする森美術館が記念展「シンプルなかたち展:美はどこからくるのか」を開催する。同展はポンピドゥー・センターの分館として2010年に開館したポンピドゥー・センター・メスがエルメス財団とコラボレーションした初の共同企画展であり、メスで開催された展覧会が日本へ巡回するのは今回が初。展示は森美術館のために再構成され、日本展独自の作品も出品される。キュレーターはジャン・ド・ロワジー(パレ・ド・トーキョー プレジデント)と南條史生(森美術館館長)。
19世紀から20世紀にかけて、ヨーロッパでは数学、機械工学、生物学、地質学や考古学の探求の中で「シンプルなかたち」の美学が再認識され、工業製品や建築のデザインなどに多大な影響を与えた。同様に、その品格ある魅力は多くのアーティスト達を魅了し、近代美術の多数の名作を生み出した。一方、このような単純で美しい「シンプルなかたち」は、自然の中や、世界各国のプリミティブアート、民俗芸術、伝統文化の中にも、数多く見出すことができる。日本においては、工芸品や茶道具、仏像や禅画などに同様の美学が体現されている。
今展では、このような古今東西の「シンプルなかたち」約130点を「形而上学的風景」「孤高の庵」「生成のかたち」など9つのセクションで構成。古くは先史時代の石器から、現代アーティストによるダイナミックで先鋭的なインスタレーションまで、地理的なひろがりと歴史的なつながりを示しながら展望し、時空を越えた普遍的な美を描き出す。また出品作はポンピドゥー・センターをはじめ、ピカソ美術館、ル・コルビュジエ財団などフランスの名だたる美術館・博物館から本邦初公開作品を含む名品が多数出品され、森美術館のための新作とともに展示を構成する。
■出品作家 ※姓のアルファベット順
ジャン・アルプ、エティエンヌ・ビオティ、カール・ブロスフェルト、コンスタンティン・ブランクーシ、ブラッサイ、長次郎、ル・コルビュジエ(コレクターとして出展)、マルク・クチュリエ、マルセル・ダッソー、アルブレヒト・デューラー、オラファー・エリアソン、円空、ルチオ・フォンタナ、スザンナ・フリッチャー、橋本平八、バーバラ・ヘップワース、池大雅、ジャン=バティスト・ロメ・ド・リール、アン・ヴェロニカ・ヤンセンズ、トーマス・ジェファーソン(発案者として出展)、アニッシュ・カプーア、エルズワース・ケリー、クー・ボンチャン、ジェルメーヌ・クルル、フランティシェク・クプカ、黒田泰蔵、李禹煥、ロバート・メイプルソープ、エティエンヌ=ジュール・マレー、アンリ・マティス、アンソニー・マッコール、ジョン・マクラッケン、ヘンリー・ムーア、パトリック・ヌー、カールステン・ニコライ、西川勝人、大巻伸嗣、岡田紅陽、岡崎和郎、ガブリエル・オロスコ、シャルロット・ペリアン、アントワーヌ・ペヴスナー、パブロ・ピカソ、マン・レイ、ロベール・ル・リコレ、メダルド・ロッソ、エマニュエル・ソーニエ、仙厓、雪舟、ホセ・マリア・シシリア、カール・シュトルーエ、杉本博司、田中信行、ヴォルフガング・ティルマンス、蔡佳葳(ツァイ・チャウエイ)、グザヴィエ・ヴェイヤン、ノット・ヴィタル
【会期】2015年4月25日(土)~7月5日(日)
【会場】森美術館(東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階) TEL03-5777-8600(ハローダイヤル)
【休館】会期中無休
【開館】10:00~22:00(火曜のみ17:00まで)
※4/25(土)は「六本木アートナイト2015」開催に伴い翌朝6:00まで
※ただし5/5(火・祝)は22:00まで
※入館は閉館時間の30分前まで
【料金】一般1,800円 学生(高校・大学生)1,200円 子供(4歳-中学生)600円 シニア(65歳以上)1,500円
※4月29日以降は、同展チケットで展望台 東京シティビューにも入館可
※スカイデッキへは別途料金が必要
【関連リンク】森美術館
■作品の展示替え
長次郎《まこも》藤田美術館蔵、大阪(展示期間:4/25-5/19)
長次郎《太夫黒》北村美術館蔵、京都(展示期間:5/20-7/5)
雪舟《漁樵問答図》公益財団法人 泉屋博古館蔵、京都(展示期間:4/25-6/2)
池大雅《梅花月図》京都府立総合資料館蔵(京都文化博物館管理)(展示期間:6/3-7/5)
仙厓《円相図》福岡市美術館蔵(展示期間:4/25-6/2)
仙厓《円相図》九州大学文学部蔵、福岡(展示期間:6/3-7/5)
《二月堂練行衆盤》個人蔵(展示期間:4/25-6/2)
《根来 足付折敷 五枚組》個人蔵(展示期間:6/3-7/5)