渋谷公園通りの“たば塩”で長く親しまれた「たばこと塩の博物館」(勝浦秀夫館長)が墨田区横川に移転、1年半の休館を経て4月25日(土)、リニューアルオープンした。
同館は、1978年11月、渋谷公園通りに開館。35年にわたって「たばこ」と「塩」の歴史と文化を幅広く紹介してきた。東京スカイツリー近くに新装なった館は、5階建て延床面積6千㎡、渋谷時代と比べて約2倍の広さ。
正面入り口から1階の開けたエントランスホールに充実したミュージアムショップや新たにワークショップルームがある。2階は「塩」の常設展示室。塩の文化をテーマに「世界の塩資源」「日本の塩づくり」「塩のサイエンス」の3コーナー。石川県能登半島で50年塩作りに使われてきた釜屋を移築した展示や塩の性質・用途・製法を科学の面から紹介する新たなコーナーが加わった。塩の原料や産地を最新の映像システムで見せるサイエンス部分は学び楽しめる展示だ。
なかでも世界遺産にもなっているポーランド・ヴィエリチカの岩塩坑で坑夫たちに信仰される「聖キンガ像」を、特別許可を得て現地の職人が同地の岩塩を使用して再現した岩塩彫刻は驚異でリニューアルの目玉の一つだ。
3階はたばこの常設展示室。「たばこ文化の発生と伝播」「世界のたばこ文化」「江戸時代のたばこ文化」「近現代のたばこ文化」の4コーナー。江戸時代の本所(現在の墨田区)界隈を想定したたばこ屋のジオラマなどや看板・パッケージの実物資料「朝日」「ゴールデンバット」など、今では懐かしい趣きを感じさせる。日本に16世紀末伝来し、江戸時代を通して庶民文化にとけこみ、独自のたばこ文化が生まれた歴史を親しみやすく理解できる展示である。
さらに、現存するたばこにまつわる最古の資料「タバコを吸う神」のレリーフは、メキシコ・パレンケ遺蹟「十字の神殿」を現地の職人が実物大に再現した展示で目を見張らされる。
この他、2階の特別展示室を充実、4階に図書閲覧室、5階には多目的スペースが新設された。同館では今後、特別展(今秋以降)や講演会、映画上映会など多彩なイベントを開催する予定だ。
たばこと塩の博物館
【住所】東京都墨田区横川1-16-3
【TEL】03-3622-8801
【休館】月曜、祝日のとき翌日
【開館】10:00~18:00 (入館は17:30まで)
【料金】大人・大学生100円 小・中・高校生50円(常設展)
【関連リンク】たばこと塩の博物館