日本の書道文化のユネスコ無形文化遺産登録を目指し、4月4日、「日本書道ユネスコ登録推進協議会」が発足した。発起団体は、全国書美術振興会、全日本書道連盟、日本書芸院。主な役員は以下の各氏。顧問:髙木聖鶴、日比野光鳳、会長:荒船清彦、副会長:井茂圭洞、津金孝邦、樽本樹邨、星弘道、石飛博光、吉川蕉仙、黒田賢一、総務部長:髙木聖雨。
2009年の中国書道の無形文化遺産登録をきっかけに、日本独自の文化である仮名文字の登録を思い立った井茂氏が髙木聖鶴氏、日比野氏に呼びかけ、昨年11月、文化庁長官に要望書を提出した。申請名称は「日本の書道文化―中でも仮名書道を―」。13年にモンゴルの書道も登録され、他国とは異なる日本書道の独創性をアピールするためだ。仮名文字を「豊潤にして温かく雅の世界」と形容する仮名書の重鎮・井茂氏は、昨年東京国立博物館「日本国宝展」で約20年ぶりに見た弥生時代の銅鐸(桜ヶ丘遺跡出土、神戸市立博物館蔵)に描かれた絵の線に「仮名の線のルーツ」を直感し、「日本人のアイデンティティーを認めた」と語る。
登録への道のりは長い。日本国内の審査を通過しても、ユネスコへの申請は毎年各国1件以下に限られる。現在日本は「山・鉾・屋台行事」を再提案中、その後の案件もあり、目指す最短申請は18年3月、順調に進めば評価機関による審査後、登録決定は19年11月となる。翌20年は東京オリンピック開催年であり、無形文化遺産登録は世界に書道文化を広める絶好の機会と関係者は捉えている。
この運動の背景の一つに、書道人口の減少、特に若年層が書に親しむ機会が少なくなったことへの危機感が書家の間で広がっていることもある。日本の伝統文化の保持や国内外での普及のため、登録実現に向けて、まずは大手新聞社に特別顧問就任を依頼したり、文化団体の支援を仰ぐなどして、世論形成を図ることが計画されている。