奇想の彫刻家・天野裕夫の新作展が、東京・日本橋の椿近代画廊で開催されている。
1954年岐阜県瑞浪市に生まれ、多摩美術大学大学院在学中の78年に個展「火石化石煉獄鬼深海からの招待」(日本画廊)でデビュー。以降、個展を中心に摩訶不思議にしてユーモラスな造形表現で独自の地位を築き、現在は多摩美術大学客員教授、女子美術大学非常勤講師を務める。
他に類を見ない独特な世界観もさることながら、素材から得たイメージを具現化する確かな技術も魅力だ。蝋型鋳造で綿密に成形されたブロンズと陶や石、ガラスなどを見事に一体化させた作品は、生き生きとした力強いエネルギーに溢れ、観る者をひきつけてやまない。昨年には、瑞浪市大湫町の神明神社にそびえる樹齢1300年の神木の枝を素材とした彫刻表現に取り組み、新たな展開も見せている。
今展では、新作の木彫シリーズを中心に大小70余点を展示。木の節を大胆に活かした生命感溢れる「猪山」をはじめ、はるかな時間を生きた神木ゆえの美しい年輪模様が、ふくよかなフォルムに映える「背美鯨」、神木の灰を用いた、青みがかった釉色が味わい深い「禹王」など、奇想天外な天野ワールドをぜひ堪能してほしい。
【会期】2015年5月25日(月)~6月13日(土)
【会場】椿近代画廊(東京都中央区日本橋室町1-12-15)
【TEL】03-3275-0861
【休館】日曜
【営業時間】11:00~18:30
【関連リンク】椿近代画廊