日本では初の開催!京都の魅力アピールが奏功
6月1~3日にパリで開催されたICOM Advisory Committee(国際博物館会議諮問委員会)において、2019年のICOM大会開催地を決める投票が行われ、ICOM日本委員会(委員長:青木保・国立新美術館長)として立候補していた京都市での開催が決定した。
ICOM大会は3年に1度開催され、これまでアジアでは04年にソウル、10年に上海で開催しており、日本では初めての開催になる。ICOM日本委員会では、ICOM大会の開催について12年から検討を開始し、昨年3月の臨時総会において19年ICOM大会の開催地に京都が立候補することを決定した。11月にはICOM日本委員長の意思表明書(Letter of Intent)を送付し、今年1月に申請書(Bidding Paper)をICOM本部に提出した。大会テーマは、“Museums as Cultural Hubs; The Future of Tradition”と定め、オリジナルのロゴマークも定めた。対立候補はアメリカのシンシナティ(オハイオ州)のみで、4月21~22日にはICOM本部による京都視察が行われた。
国際的な知名度からすれば京都は絶対的に有利と思われたが、一方で例えばICOM会員の数は、シンシナティが1321に対し、日本は194(いずれも14年)で圧倒的に少なく、各国際委員会等の役員数も日本はわずか5人という状態で、国としての博物館人材の差は歴然としていた。そのため、京都市内に200館以上の博物館、40以上の大学・短大、世界文化遺産、世界無形文化遺産、世界記憶遺産があり、アクセス良好、治安もよく、宿泊費や食事代も安いというような都市の魅力を全面的に打ち出した。
こうして迎えたICOM諮問委員会では、両都市とも初日の朝から会議室前にブースを設け、パンフレットやアメニティ・グッズ等の配布を行い、最後のロビー活動を実施した。2日目に、まずプレゼンの順番がくじ引きによってシンシナティが先と決まり、午後に電子投票によって行われることになった。有権者は、各国内委員会(117)、国際委員会(30)及び加盟組織(20)。10分間のプレゼンでは、まず約3分間のビデオ映像が流され、その後、青木委員長から開催の意義やテーマ等の紹介が行われた。次いで、京都市民代表として聖護院八ツ橋専務取締役である鈴鹿可奈子さんが艶やかな振り袖姿で、京都の魅力と暮らしやすさなどを説明し、最後に佐々木丞平・京都国立博物館長のあいさつで締めくくった。
電子投票の結果、京都72票、シンシナティ26票、棄権2票となり、翌日の諮問委員会及び総会で、19年のICOM大会の開催地は京都市と決定した。ICOM日本委員会では、今後組織委員会を結成し、具体的な準備に入ることになる。
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