―パリが愛した日本人、あなたはフジタを知っていますか?
『死の棘』『泥の河』などで海外でも高い評価をうける小栗康平監督10年ぶりの新作『FOUJITA』の公開日が、11月14日(土)に決定した。同作は、1920年代よりフランスを中心に活躍した画家・藤田嗣治(1886~1968)の半生を描いたもので、タイトルの『FOUJITA』は、フジタのフランス語表記である。
1913年、27歳で単身フランスへ渡った藤田は、20年代前半に発表した「ジュイ布のある裸婦」(寝室の裸婦キキ)をはじめ、独自の”乳白色の肌”と称される裸婦像で絶賛を浴び、一躍エコール・ド・パリの寵児となる。その後、1933年に帰国。この頃に、二科会会員として「九室会」結成に関わり、また、横幅20メートルにおよぶ大壁画『秋田の行事』を手がけている。しかし、戦時の日本で「アッツ島玉砕」など数多くの戦争協力画を描いたことで、戦後に戦争責任を問われた藤田は、1949年に日本を去り、その後フランスに帰化。カトリックの洗礼を受けてレオナール・フジタとなり、二度と日本に戻ることは無かった。
藤田が生きた2つの時代、2つの文化の差異を注目した小栗監督は「パリの裸婦は日本画的といってもよく、日本での”戦争協力画”は西洋の歴史画に近い。『大東亜の理想』が叫ばれていたときである。これをフジタの”ねじれ”ととるか、したたかさ、ととるか。掘り下げるべきテーマは深い」と述べている。
主演のフジタを演じるのはオダギリジョー。韓国の鬼才キム・ギドク監督作品に出演するなど海外での活躍も目覚ましいが、本作が初めての欧州進出となる。共演には中谷美紀、加瀬亮、岸部一徳ら実力派が脇を固め、フランスからも人気の俳優が顔を揃えている。また、フランス側のプロデューサーには『アメリ』で世界的大ヒットを飛ばしたクローディー・オサール。氏はこれまでにもエミール・クストリッツア監督『アリゾナ・ドリーム』、ヴィム・ヴェンダース監督『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』などアート系の作品も数多く手掛けている。
小栗監督の静謐な映像美を通じて、フジタ知られざる世界が現出する、注目の映画である。
【タイトル】映画『FOUJITA』
【公開】2015年11月14日(土)より全国順次公開
【上映時間】126分
【監督・脚本】小栗康平
【出演】オダギリジョー
【出演】中谷美紀、アナ・ジラルド、アンジェル・ユモー、マリー・クレメール、加瀬亮、りりィ、岸部一徳、
【出演】青木崇高、福士誠治、井川比佐志、風間杜夫
【製作】『FOUJITA』製作委員会、K&A企画、小栗康平事務所、ユーロワイド フィルム プロダクション
【配給宣伝】KADOKAWA
2015年/日本・フランス/日本語・フランス語/カラー
【関連リンク】映画『FOUJITA』公式ウェブサイト