火薬の爆発を利用した絵画でその名を知られる現代美術家・蔡國強(ツァイ・グオチャン)がこの夏、横浜・新潟・東京の3カ所で個展を開催する。
皮切りとなるのは7月11日(土)より横浜美術館で開催される大規模個展「蔡國強展:帰去来」だ。国内で11年ぶりとなる同展、蔡の代名詞である大規模な火薬を用いた平面作品の爆破が報道陣に公開され、開幕前から話題を呼んでいるが、このほかにも99体の狼のレプリカを使った約40mにもおよぶ壮大なインスタレーション《壁撞き》が日本で初公開されるなど、注目が高まっている。
また夏の芸術祭の代名詞的存在、「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2015」では特別企画展「蔡國強 蓬莱山—Penglai / Hõrai」が里山現代美術館[キナーレ]を舞台に開催。戦後70年となる今年の夏、蔡は東アジアが緊張状態にあるなか、今、最もリアルで国内外の関心が集まる「島」をテーマに、古代中国で仙人が住むといわれた東の海に浮かぶ伝承の島(山)「蓬莱」をメタファーとして、ダイナミックかつユーモアとアイロニーあふれる大インスタレーションを展開。島の周囲に龍のように配置された藁細工は、地域の匠たちからその技を学び、越後妻有のこどもたちとともに作り上げた約1000体にもおよぶ協働の作品。世界各地で、地域と協働しながら、国を超えたプロジェクトを次々と実現する蔡の真骨頂とも言えるインスタレーションに注目したい。
このキナーレの展覧会と関連する作品をより身近に感じられるのが代官山・アートフロントギャラリーでほぼ同時期にスタートする「蔡國強 アート・アイランド展」だ。このギャラリー展示では、蓬莱山を中心とした「島」に視座を置き、自身がキナーレにおいて火薬の爆発で生み出したドローイング10数点と、バーチャルな世界に構成される「未来の島=ドリームアイランド」を一堂に展示。この展覧会での収益の一部は、ユネスコ平和アーティストプロジェクトに寄付されるという。
この夏は3カ所の「蔡國強展」を辿り、蔡の過去と現在、そして未来を通覧してみてはいかがだろうか。
「蔡國強展:帰去来」
【会期】2015年7月11日(土)~10月18日(日)
【会場】横浜美術館(横浜市西区みなとみらい3-4-1)
【休館】木曜
【開館】10:00~18:00(入館は17:30まで) ※9月16日、9月18日は20:00(入館は19:30)まで開館
【料金】一般1,500円 大学・高校生900円 中学生600円 小学生以下無料
【関連リンク】横浜美術館
「蔡國強 蓬莱山—Penglai / Hõrai」
【会期】2015年7月26日(日)~9月27日(日)
※「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2015」のプロジェクトとして開催
【会場】越後妻有里山現代美術館[キナーレ](新潟県十日町市本町6丁目)
【休館】9月16日(水)、24日(木)
【開館】9:00~19:00(最終入館18:30)、芸術祭会期外は10:00~17:00(最終入館16:30)
【料金】大人1,500円(芸術祭会期中作品鑑賞パスポート提示で無料)、小中学生 800円(芸術祭会期中無料)
※コレクション展示、芸術祭特別展示を含む
【関連リンク】越後妻有里山現代美術館[キナーレ]
「蔡國強 アート・アイランド展」
【会期】2015年7月28日(火)~9月6日(日)
【会場】アートフロントギャラリー(東京都渋谷区猿楽町 29-18 ヒルサイドテラス A棟)
【休館】月曜、8月13日(木)~17日(月)
【開館】11:00~19:00
【料金】無料
【関連リンク】アートフロントギャラリー