アルフレッド・シスレー展
―印象派、空と水辺の風景画家―
開館30周年を迎えた練馬区立美術館が、初の印象派展「アルフレッド・シスレー展」を9月に開催する。
「ポール=マルリの洪水」(1876年、オルセー美術館)など、印象派を代表する画家の一人として知られるアルフレッド・シスレー(Alfred Sisley/1839~1899)。裕福な英国人実業家の家庭に生まれるも画家を志し、モネやルノワール、バジールらと交流、ルーヴシエンヌやセーヴル、モレ=シュル=ロワンなど各地を転々としながら生涯を通じて風景を描き続けた。
同展では、国内所蔵の風景画約20点を含む総数約50点を通じて、シスレーの画業を紹介する。展示は3章構成で、第1章では印象主義的作風が顕著になる1870年代から、パリ近郊の村モレ=シュル=ロワンに居を構えた最晩年の1890年代までを追うもの。続く第2章では、シスレーが描き続けたセーヌ川とその支流を巡る情景が、19世紀の近代化(=テクノロジー)によって成立したという視点から、描かれたセーヌ川について検証を試みる。そして第3章では、シスレーによって確立された印象主義の風景画のスタイルが、日本の画家にも影響を与えていることに注目し、具体的な作品を通して、その影響関係について考察する。
単に歩みを追うだけでなく、「テクノロジーと描かれた河川」「日本における影響」というこれまでにない新しい2つの視点を加えて、多角的にシスレーの画業を見つめる意欲的な展覧会だ。シスレーの誕生日にあたる10月30日(金)には、記念コンサートや観覧者プレゼント(先着200名)を実施。そのほか、特別講演会やワークショップ(下記)など様々な関連イベントも予定されている。
【会期】2015年9月20日(日)~11月15日(日)
【会場】練馬区立美術館(東京都練馬区貫井1-36-16)
【TEL】03-3577-1821
【休館】月曜、祝日のとき翌平日
【開館】10:00~18:00 (入館は17:30まで)
【料金】一般1,000円 高校・大学生および65~74歳800円 中学生以下および75歳以上無料
※一般以外のチケット購入時は、年齢等を証明できるものを提示のこと
【関連リンク】練馬区立美術館
■《絵画を考える特別講演会》
① シスレー芸術の魅力―空と水辺
【日時】10月3日(土) 14:30~16:00
【講師】島田紀夫(実践女子大学名誉教授、石橋財団ブリヂストン美術館前館長)
② 「絵になる」川の眺めを探して
【日時】10月10日(土) 14:30~16:00
【講師】萩島 哲(九州大学名誉教授)
③ テクノロジーが支えた印象派の水面―セーヌ川革命の19世紀
【日時】10月17日(土) 14:30~16:00
【講師】佐川美加(セーヌ川研究家、『パリが沈んだ日―セーヌ川の洪水史』(白水社)著者)
④アルフレッド・シスレーと作品の行方:コレクター、画廊、美術館
【日時】10月31日(土) 14:30~16:00
【講師】小泉順也(一橋大学大学院准教授)
⑤印象派の風景画―日本近代洋画との関係
【日時】11月7日(土) 14:30~16:00
【講師】小野寛子(練馬区立美術館学芸員)
■《河川を学ぶワークショップ》
①東京の川、荒川を知る―川から見る水の都市・東京の姿―
【事前学習】9月26日(土) 14:00~15:00
【講師】小野寛子(練馬区立美術館学芸員)
【フィールドワーク】10月8日(木) 13:00~17:00
【講師】里村真吾(国土交通省 関東地方整備局 荒川下流河川事務所 事務所長)
【定員】中学生以上、30名
②練馬の川、石神井川を知る―歩いてめぐる練馬の歴史と風景―
【事前学習】10月10日(土) 10:30~11:30
【講師】小野寛子(練馬区立美術館学芸員)
【フィールドワーク】10月18日(日) 14:00~17:00
【講師】根岸博之(練馬区立美術館職員、都市史学会会員)
【定員】中学生以上、15名
※その他の関連イベントなど詳細は同館まで。