中国を代表するアーティストで世界的に活躍するアイ・ウェイウェイ(艾未未)が21日、自身のインスタグラムでパスポートの返還を報告し、大きな話題を呼んでいる。
アイは1957年生まれ、北京出身の現代アーティスト。ニューヨークでの活動経験を持ち、これまでにオーストラリア、ベルギー、フランス、ドイツ、イタリア、日本、韓国、アメリカなど世界各地で個展を開催。また1999年の第48回ヴェネツィア・ビエンナーレや、2002年の第1回広州ビエンナーレ、2007年のドクメンタ12などへの参加実績がある。(日本では2009年に森美術館で個展「アイ・ウェウェイ展―何に因って」を行っている) アイは2008年に中国四川地方で起きた大地震に関する実態調査のプロジェクトを行っており、結果として2011年に中国当局に一時拘束され、その後パスポートを押収されていた。
アイはインスタグラムで「今天,我拿到了护照。」(今日、私はパスポートを受け取った。)と21日にUP。9月には英国王立芸術院(ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツ)での大規模な個展も予定されており、同校アーティスティック・ディレクターのティム・マーロウ氏は「素晴らしいニュース。アイが個展のインストールに参加できることを喜んでいる」と同校ウェブサイトで語っている。
また現在、アイが参加するグループ展「BEYOND STUFF」を開催し、個人的にも親交が深いミヅマアートギャラリーオーナー・三潴末雄氏はArt Annual onlineに対して「中国では人権派の弁護士が300名以上も連行されている厳しい状況下の中での嬉しいニュースです。Aiweiweiのパスポートが戻った!リミンジュ(ミヅマ市ヶ谷のグループ展に参加作家)の話だと習近平の父親とアイウェイウェイの父親アイチンは、親しい間柄だったので、アイウェイウェイのパスポートが戻るのも、時間の問題だと言っていました。本当に良かったです。日本に招待したい!」とその喜びを語った。
なお王立芸術院はアイの個展開催に当たり、クラウドファンディングサイト「KICKSTARTER」で巨大な木の彫刻作品の搬入費用を募っている。同作は王立芸術院の野外に展示される予定で、インストールに必要な目標額は10万ポンド(約1,930万円)。7月23日時点で628人から約4万ポンドの出資を集めている。