白紙撤回された2020年東京オリンピック・パラリンピックのエンブレムに関し、新エンブレムを選考する委員会の基本方針などを決める「準備会」が発足、18日に初会合が開催され、それを受けた記者会見が虎ノ門ヒルズで行われた。
同会の座長は東京藝術大学学長・宮田亮平氏が務めており、メンバーには杉山愛氏(元プロテニス選手)、但木敬一氏(弁護士・元検事総長)、夏野剛氏(慶応大大学院特別招聘教授)、マリ・クリスティーヌ氏(異文化コミュニケーター)、山本浩氏(法政大学教授)の5名が就任。会見では冒頭、宮田座長が第1回準備会の概要を報告。エンブレム策定に向けた今後のスケジュールについては「なるべく早急にする必要がある」と述べ、9月28日の理事会において選考委員の候補者リストをまとめるとした。また事務局からは前回のエンブレムに関し応募から審査、審査後の修正にいたる経緯と反省点などの報告があったといい、具体的には「幅広い方々が参加できる仕組みにするべきだった」「審査員は多様な意見を反映できる人選にすべきであった」「審査課程の秘密性が強すぎた」などが反省点として示されたという。
これを受けメンバーからは「国民的行事であるという意識が欠けていたのではないか」「単にデザイン観点から選ぶのではなく、国民が受け入れ、共有できるものとすることが必要」「若い世代がITを通じて情報を収集発信していることを認識し進めることが大切」「明らかにできることろは明らかにし、透明性を高める」などの意見があり、国民の賛同を得られるもの=全員参加の意識を共有しながら進めていくことを確認。座長は「エンブレムとは何か」を考え続ける姿勢の重要性を強調した。
またエンブレム審査員については「デザインの専門家は必要」としながらも、スポーツ界、報道界、経済界、IT関係、芸能関係など幅広い人選によって選考委員会を構成すると言及。15~20名で構成され、準備会メンバーもこの中に含まれるという。
会見では前回のエンブレムについて検証は行わないのかといった声が多く出たが、これについては「9月28日に踏まえるべきポイントが取りまとめられるのであれば、理事会に報告する」と事務局側が説明。また前回エンブレムデザイナーの佐野研二郎氏や審査員への聞き取りについては「あえて呼ぶ必要はない」とし、行わない方針を示した。
なおエンブレムの応募要件について、宮田座長は「(私としては)なるべく多くの方にご参加いただけたらと思っている」とし、要件緩和への積極的な姿勢を見せた。
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