「どこにもない芸術祭を札幌で」
創造都市さっぽろ・国際芸術祭実行委員会は、2017年夏に開催を予定している札幌国際芸術祭2017(Sapporo International Art Festival 2017 略称:SIAF2017)のゲストディレクターとして音楽家の大友良英氏(1959年横浜生まれ)が就任したと発表した。
SIAFは2014年に第1回が開催された北海道初となる国際芸術祭。初回は音楽家・坂本龍一氏がゲストディレクターを務め、「都市と自然」をテーマに72日間にわたり開催。64組のアーティストが参加し、延べ47万人が来場した。
2回目となる今回の選考に当たっては、①市民の関心を喚起することができる芸術文化の実践者、②美術領域のみに限らず、現代社会に対して広い視野を持ち、SIAFにふさわしい方針(テーマやコンセプト)と展望を提示することができる人物、③テーマやコンセプトを自らの言葉で説明し、発信できる人物 の3点が条件として検討された。
大友氏はギタリストやターンテーブル奏者としてフリージャズやノイズミュージックの分野で活躍する一方、作曲家として数多くの楽曲を手掛けている。また近年は「プロジェクトFUKUSHIMA!」など市民参加型のプロジェクトにも取り組んでおり、SIAF2014の際も「フェスティバルFUKUSHIMA! 北3条広場で盆踊り」などに携わった。加えて、昨年からは(独法)国際交流基金アジアセンターが主宰する「アンサンブルズ・アジア」のアーティスティック・ディレクターにも就任し、アジア各国のアーティストやミュージシャンとも交流するなど、その幅広い活動や国際的な活動実績が就任へと繋がったという。
なお開催概要や参加アーティストなどの発表は来年2月を予定しているという。
大友良英氏メッセージ
わたしがゲストディレクターに選ばれるというのは、誰にとっても意外なことだったと思います。なにしろ当の本人もびっくりしているくらいですから。札幌が、そのくらい意外な人選をしたということは、誰も想像つかないような芸術祭をわたしにやってくれ・・・という強いメッセージだとも受け取りました。幸い札幌は、わたしの音楽のキャリアのスタートから深い関係のある土地です。全力でこの依頼、受けたく思います。
震災後、さまざまな活動をしていくなかで、わたしの中に芽生えた大きな確信があります。それはあらゆる表現は専門家だけのものではないということです。もちろん、専門領域で熟達した人々でなくては出来ないものもあります。同時に専門領域の人だけでは見えない世界もある・・・そう思うようになりました。それは音楽や美術の話だけではなく、ありとあらゆる領域で言えることかもしれません。そんな両者の扉を開くこと。普段は出会うことのない世界が出会うことで、ハレーションを起こしたり、新しい発想が生まれたり、もしかしたら見たことも聴いたこともないものが生まれたり。
専門家であれ、そうではない人であれ、もう一度、耳をすましてみる、目をこらしてみる。そして一緒につくってみる。そんな、どこにもない芸術祭を札幌で出来ればと思っています。
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