「第10回 ヒロシマ賞」受賞者が、ロンドン及びベルリンを拠点に国際的に活躍するパレスチナ人アーティスト、モナ・ハトゥムに決定した。
モナ・ハトゥムは、1952年生まれ、レバノン出身。レバノンそしてイギリスという異境に暮らしてきたパレスチナ人として、二重に追放された自らの境遇に深く根ざした感情や、ジェンダーの問題、さらには今日の世界情勢における政治的な課題を表現したパフォーマンスや映像、インスタレーションなどで知られている。
1995年にはターナー賞の候補となり、その後もヴェネチア・ビエンナーレなどの国際美術展や世界各地の美術館で個展を開催するなど国際的に活躍している。2011年にはスペインのジョアン・ミロ賞を受賞。また、今年の5月から9月にかけてパリのポンピドゥー・センターで大規模な回顧展を開催しており、同展は来年、イギリスのテート美術館に巡回する予定。
「ヒロシマ賞」は、現代美術の分野で人類の平和に貢献した作家の業績を顕彰し、世界の恒久平和を希求する「ヒロシマの心」を現代美術を通して広く世界へとアピールすることを目的として、広島市が1989年に創設した芸術賞。これまで三宅一生やロバート・ラウシェンバーグ、ドリス・サルセドら9組のアーティストが受賞している。第10回ヒロシマ賞の授賞式および受賞記念展は、2017年夏に広島市現代美術館にて開催予定。
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