ホテルオークラ東京 旧本館の意匠を新本館ロビーへ継承する方針固める

2015年10月26日 16:40 カテゴリ:最新のニュース

 

シンボル的存在の「オークラ・ランターン」など再利用へ

 

新館ロビーイメージパース

新館ロビーイメージパース

 

ホテルオークラ東京の本館建替事業に伴い、8月末に本館を閉館、解体工事に着手した株式会社ホテルオークラは24日、旧本館の意匠の一部を新本館ロビーへ継承する方針を発表した。

 

本館建替計画では、旧本館を設計した谷口吉郎氏の息子であり、東京国立博物館法隆寺宝物館等を手がけた谷口吉生氏を設計チームに起用。同館が育んできた「日本の伝統美」を継承する取り組みの一環として、ロビーをはじめとした旧本館のインテリア、装飾などについても、可能な限り新本館に移設、再現をすべく、現場調査を重ねながら設計作業を進めてきた。そして今回、新本館ロビーの設計・デザインが概ね決定し、一部インテリアや装飾を再利用、再製作した上で、継承していく方針となった。

 

継承されるのはホテルオークラ東京の象徴とも称される照明具「オークラ・ランターン」や、満開の花のように見立てた「梅の花のテーブルと椅子」、六大陸各都市の時を刻み世界の賓客を迎えてきた「世界時計」、そして「行燈」など。また、色絵磁器の人間国宝 富本憲吉氏がデザインし、西陣の純絹のつづら錦に仕上げた「四弁花紋様の装飾」や「麻の葉紋の木組み格子」などは、再利用が出来ない為、再製作される予定だという。その他、夢の架け橋というコンセプトで設計された「メザニン」(中二階)や天井のデザインなども新本館に再現予定。なお、新本館のロビーの面積は旧本館ロビーよりも2割ほど大きくなる予定となっている。

 

今回の継承に関し、谷口吉生氏は「ホテルオークラ50年の歴史を継承すると同時に、次の50年、100年も生き続けることができるデザインを目指します。具体的には、ロビーの中に現在の本館ロビーを復元しつつ、現代にふさわしいロビーとして生まれ変わらせます。また、ロビーの前には、ホテル2棟とランドマークとなる大倉集古館によって構成する新しい広場を設計します」とコメントを寄せている。

 

新本館の開業は2019年の予定。

 

切子玉型(オークラ・ランターン)は古墳時代の飾り玉に見られる切子玉型をデザインしたもので、五角形の板を10枚つなぎ合わせて切子型とし、五連つなげて一つとしている。

「切子玉型」(オークラ・ランターン):古墳時代の飾り玉に見られる切子玉型をデザインしたもので、五角形の板を10枚つなぎ合わせて切子型とし、五連つなげて一つとしている。

 

「世界時計」ホテルオークラ東京を設計した谷口吉郎が晩年、当時の社長 野田岩次郎所有の古いオランダ製の海図をもとに考案し、丹青社ならびにセイコー(株)服部時計店の協力のもと、当時としては、最新機能と種々の趣向を凝らして製作された。

「世界時計」:ホテルオークラ東京を設計した谷口吉郎が晩年、当時の社長 野田岩次郎所有の古いオランダ製の海図をもとに考案し、丹青社ならびにセイコー(株)服部時計店の協力のもと、当時としては、最新機能と種々の趣向を凝らして製作された。

 

「四弁花紋」(つづれ織りの壁画)色絵磁器の第一人者で人間国宝の富本憲吉氏がデザインした四弁花紋様を、京都・西陣の龍村美術織物に依頼して純絹のつづれ織りにしたもの。

「四弁花紋」(つづれ織りの壁画):色絵磁器の第一人者で人間国宝の富本憲吉氏がデザインした四弁花紋様を、京都・西陣の龍村美術織物に依頼して純絹のつづれ織りにしたもの。

 

 


関連記事

その他の記事