シンボル的存在の「オークラ・ランターン」など再利用へ
ホテルオークラ東京の本館建替事業に伴い、8月末に本館を閉館、解体工事に着手した株式会社ホテルオークラは24日、旧本館の意匠の一部を新本館ロビーへ継承する方針を発表した。
本館建替計画では、旧本館を設計した谷口吉郎氏の息子であり、東京国立博物館法隆寺宝物館等を手がけた谷口吉生氏を設計チームに起用。同館が育んできた「日本の伝統美」を継承する取り組みの一環として、ロビーをはじめとした旧本館のインテリア、装飾などについても、可能な限り新本館に移設、再現をすべく、現場調査を重ねながら設計作業を進めてきた。そして今回、新本館ロビーの設計・デザインが概ね決定し、一部インテリアや装飾を再利用、再製作した上で、継承していく方針となった。
継承されるのはホテルオークラ東京の象徴とも称される照明具「オークラ・ランターン」や、満開の花のように見立てた「梅の花のテーブルと椅子」、六大陸各都市の時を刻み世界の賓客を迎えてきた「世界時計」、そして「行燈」など。また、色絵磁器の人間国宝 富本憲吉氏がデザインし、西陣の純絹のつづら錦に仕上げた「四弁花紋様の装飾」や「麻の葉紋の木組み格子」などは、再利用が出来ない為、再製作される予定だという。その他、夢の架け橋というコンセプトで設計された「メザニン」(中二階)や天井のデザインなども新本館に再現予定。なお、新本館のロビーの面積は旧本館ロビーよりも2割ほど大きくなる予定となっている。
今回の継承に関し、谷口吉生氏は「ホテルオークラ50年の歴史を継承すると同時に、次の50年、100年も生き続けることができるデザインを目指します。具体的には、ロビーの中に現在の本館ロビーを復元しつつ、現代にふさわしいロビーとして生まれ変わらせます。また、ロビーの前には、ホテル2棟とランドマークとなる大倉集古館によって構成する新しい広場を設計します」とコメントを寄せている。
新本館の開業は2019年の予定。