アメリカ・シカゴの実業家で日本美術収集家でもあるロジャー・ウェストン氏が情熱を傾けて収集した肉筆浮世絵。個人コレクションとしては世界有数の規模と質を誇るそのコレクションが日本で初公開される。
今展は、菱川師宣、勝川春章、歌川豊国、葛飾北斎、河鍋暁斎らによる肉筆浮世絵の名品約130点を、近世初期から明治に至るまで歴史的に系統立てて展観するものだ。同コレクションは美人画が多く、今展も立姿美人図100図以上が出品され、時代ごとに並べられた美人図の変遷を楽しめる。
浮世絵版画では、摺る時に絵の具を使わず紙の白さで美人の顔を表現するが、肉筆画では貝殻を砕いた胡粉を使って、白粉を叩くように何度も薄く重ねることで、白く滑らかな肌を描く。筆で細かく描かれた髪の生え際や、うなじの毛筋、まつ毛、唇の紅のぼかし、薄い着物越しに透けて見える肢体など、美人の色香を引き立てる精緻な表現に、超絶技巧とも言えるテクニックを見出せるだろう。
照明はLEDに加え一部に有機ELを利用、さらに奥行きのない薄型の陳列ケースを特注するなど最新技術を導入したため、肉筆浮世絵の精緻な表現を至近距離で楽しむことができる。
また、昨春ウェストン氏がニューヨークの画商から購入した喜多川歌麿「西王母図」も出品されるなど、見どころが盛りだくさんである。
【会期】2015年11月20日(金)~2016年1月17日(日)
【会場】上野の森美術館(東京都台東区上野公園1-2)
【TEL】03-5777-8600(ハローダイヤル)
【休館】月曜(祝日のとき開館)、2016年1月1日(金)
【開館】10:00~17:00、金曜日は20時まで(入館は閉館30分前まで)
【料金】一般1500円 高校・大学生1200円 小・中学生500円 障がい者手帳持参者と介助者1名無料
【関連リンク】肉筆浮世絵展公式サイト