器でありながら用の機能に捉われない、自由で根源的な作品を制作する陶芸家・小川待子の新作展が、銀座1丁目の中長小西で開催されている。
1946年北海道札幌市生まれ。東京藝術大学工芸科を卒業後、パリ工芸学校、西アフリカでの制作を経て、80年代より本格的な発表を始める。ひびや欠けなど、従来の陶芸に無い造形を大きな特徴とするその作品は「一見、器の形態をとりながら、器の用の美よりも器を器たらしめている原点に立ち向かおうとしている」と評され、2001年に日本陶磁協会賞、2008年には第58回芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。時代の流れとは関係なく、自分自身の確固たる姿勢で制作を続ける今日にあって稀有な陶芸家と言えるだろう。
今展の大きな特徴は、作品に施された「赤」。赤絵の顔料を用いたというこの赤は、作家ならではの原初的で力強い造形をより強調させ、なかでもギャラリー中央のスペースに並ぶ5つの連作は、太古より時を超えて今にあるかのような荘厳さすら感じさせる。その他、水指や碗など15点による展観。従来の陶芸という枠組みを超えて、器というものの原点に迫ろうとする小川の新作をぜひ楽しんでほしい。
【会期】2015年11月27日(金)~12月12日(土)
【会場】中長小西(東京都中央区銀座1丁目15-14 水野ビル4F)
【TEL】03-3564-8225
【休廊】日曜
【営業時間】11:00~19:00
【関連リンク】中長小西