今年も様々なニュースが駆け巡った2015年の美術界。その1年をArt Annual onlineのアクセス数で回顧する。(集計期間:2015年1月1日~12月28日) なおあわせて2015年後半の展覧会入場者数レポートもチェックしてほしい。
1位 「夢だと思った」2020年東京五輪のエンブレムに佐野研二郎氏 104件から選定
7月24日に東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が2020年東京オリンピック・パラリンピックのエンブレムを発表。佐野研二郎氏が104件の中から選定され一躍注目を浴びた。しかしながらその後のエンブレム類似問題が明らかになり、9月に白紙撤回へ。本記事はエンブレム決定時のものだが、その後の騒動で大きな注目を集め、アクセス数を伸ばした。なお新しいエンブレムは公募によって募集が行われ、応募点数は14,599点にのぼっている。採取決定は来春の予定。
2位 日本初の“春画展”永青文庫で開催決定!大英博物館が特別協力
今年5月、日本初となる春画のみで構成された展覧会「春画展」の開催が決まり、大きな話題を呼んだ。同展は淺木正勝氏(丸栄堂代表取締役)や浦上満氏(浦上蒼穹堂代表取締役)をはじめとする31名の実行員会の働きかけによって実現。永青文庫を会場に、18歳未満入館禁止という異例にもかかわらず、老若男女が詰めかけた。総入場者数は210,220人。なお同展は京都の細見美術館へと巡回する。会期は2月6日から4月10日まで。
3位 二子玉川にテオ・ヤンセンがやってくる!「FUTAKOTAMAGAWA ENNICHI」
東京・世田谷区二子玉川にオープンした「二子玉川ライズ・ショッピングセンター・テラスマーケット」のオープニングイベントとして「ストランドビースト」で著名なオランダの彫刻家・物理学者であるテオ・ヤンセンの作品がお目見え。日本ではなかなか見る機会のない作品とあってか、多くの注目を集めたようだ。
4位 【訃報】三上晴子氏
日本におけるメディアアートの第一人者として大きな足跡を残した三上晴子氏ががんにより逝去。享年53。2015年の年明けにもたらされた突然の訃報に、多くの美術関係者が衝撃を受けた。この逝去を受けてICCでは3月に追悼イベント「RE/membering MIKAMI Seiko」を開催。また10月には台東区のギャラリー parabolica-bisで三上氏の80年代の活動を振り返る回顧展「三上晴子と80年代」が開催され、氏と交流のあった飴屋法水、椹木野衣、山川冬樹、池内務らがトークやライブを行った。美術館などでの回顧展が待たれる。
ドイツを代表する現代美術家、ゲルハルト・リヒターが3年ぶり9度目となる個展「Painting」を六本木のWAKO WORKS OF ARTで開催。油彩画の最新作の公開は、2005年以来、10年ぶり。同展が初公開の場ということもあり、初日のオープニングには多くの美術関係者・コレクターらが駆けつけた。
6位 5美術館が無料!東京駅周辺美術館特別企画「学生無料ウィーク」
東京駅周辺にある5つ美術館、ブリヂストン美術館、出光美術館、三井記念美術館、三菱一号館美術館、東京ステーションギャラリーが、初の試みとして3月17日から3月31日の期間、大学生までの学生を対象に無料で美術館に入館できる「学生無料ウィーク」を開催。これは若い世代に本物のアートに触れてもらうことを目的としたイベントで、7月には休館に入ったブリヂストン美術館を除く4館が七夕フェアとして「カップル割」を行った。
7位 「春画展」キーパーソン・浦上満氏に聞く―日本初の「春画展」開催の舞台裏
「春画展」開催の立役者である浦上蒼穹堂代表・浦上満氏のインタビュー記事。日本初ということで開催前に大きな関心を集めた同展だが、その開催までには20以上の美術館が打診を拒否するなど多くの苦労があった。日本で春画展を開催する意義を強く訴えた言葉の数々に注目が集まったといえる。
8位 「没後20年 ルーシー・リー展」が全国5会場を巡回。陶芸コンテストも
モダンかつ情緒豊かな器物型スタイルを打ち立て、世界的に高く評価された陶芸家・ルーシー・リー(1902~1995)の未だ衰えぬ人気を裏付ける結果となった。2015年はその没後20年にあたり、茨城県陶芸美術館を皮切りとして全国5館を巡回する「没後20年 ルーシー・リー展」が開催。同展は郡山市立美術館(2016年1月16日(土)~3月21日(月・祝))、静岡市美術館〔予定〕(2016年4月9日(土)~5月29日(日))へと巡回予定。
9位 サイ トゥオンブリー展原美術館で開催 日本の美術館として初
20世紀を代表する巨匠サイ トゥオンブリー(1928~2011)の個展が日本の美術館として初めて、原美術館で開催され、大きな話題に。同展ではトゥオンブリーの即興性、速度、激情、直感がいきいきと横溢する紙の作品(ドローイング、モノタイプ)約70点(作品の一部はハラ ミュージアム アークに出品)が一堂に会し、その50年にわたる孤高の画業を紹介。約29,000人の入館者数を記録した。
10位 「アッツ島玉砕」「ラ・フォンテーヌ頌」など全所蔵作品を展示!東近美の藤田嗣治特集
戦後70年の節目となった2015年、東京国立近代美術館では所蔵する藤田嗣治の全作品を一堂に展覧する初の試み藤田嗣治、全所蔵作品展示。」が開催された。戦争画に対する関心も高かった2015年だが、同展では藤田の戦争画14点を展示。「アッツ島玉砕」をはじめ「血戦ガダルカナル」「サイパン島同胞臣節を全うす」などアメリカ合衆国から無期限貸与されている作品が一堂に展覧。映画「FOUJITA」の公開などと相まって、大きな話題を呼んだ。
【関連記事】印象派人気は衰えず―2015年後半の主な展覧会を振り返る