1年半の改修工事終了 「芸術文化の創造発信拠点」として再生
5階展示ギャラリーは1室増床2室に 地階は東西2室
池袋西口駅前にあって平成23年度から1年半に及ぶ大規模改修工事が進められていた東京芸術劇場(愛称「芸劇」、豊島区西池袋1―8―1、福地茂雄館長)が、9月1日リニューアルオープンした。8月31日には関係者・来賓を迎えて記念式典、レセプションが行われ、一新された同館の各施設のお披露目があった。美術関係では従来の5階展示ギャラリーに加えてその右奥に展示ギャラリー2を増設、5階への直通エスカレーターは2階からの乗り継ぎ方式となった。
都が管理する「芸劇」は、平成2年10月にオープン、貸しホール中心に音楽・演劇活動に多く使用されると同時に、公募展・グループ展さらには個展発表にも手頃な美術展示施設として東京都美術館を補完する形でかなり利用されていた。しかし都美術館と同様に建物の劣化が進み、安全性やエネルギー効率の観点から修復工事が必要とされたものだ。
東京都では今回のリニューアルを契機に、公立の文化施設に求められる役割も変化したとして、「芸劇」も貸しホール中心の施設から「芸術文化の創造発信拠点」「賑わいの拠点」を目指し、初代芸術監督に野田秀樹氏を迎えて、大きく機能転換を図るなどとした。
メインのコンサートホールなどの設備改善のほか、美術関係施設でも幾つかの改修箇所があり印象度はアップした。絹谷幸二氏(独立美術協会会員)による天井画オーヴァル3面に迎えられるようで印象的だった5階フロアは上がり部分に緩い段差が付けられ、ゆったりした雰囲気を感じさせる。従来の正面、展示ギャラリーは名称変更してギャラリー1(面積:約393㎡)となり、新装されるとともに機能性をアップ。展示移動壁20枚。照明設備はダウンライト(24回路)とスポットライト(15同)。利用料金は全日13万円。
新たに右奥部分にギャラリー2(旧会議室)が設けられた。面積135㎡で展示設備は壁面吊り設備、ダウンライト3回路、同スポット3回路。料金:全日4万7千円。また、地階部分の展示 室1・2はそれぞれアトリエイースト(BF1)、アトリエウエスト(同)と名称変更。イーストは面積79㎡、ダウンライト(3回路)スポットライト(同)、料金:全日1万9千円。ウエストは面積92・8㎡、ダウンライト(3回路)スポットライト(同)、料金は全日2万円、展示設備はともに壁面吊りとなっている。
以上の他に、同劇場は1階に入って空間の広がりを感じさせるアトリウムが特徴だった。中央を横断していた5階への直行エスカレーターは、2階に左右に乗り継ぎ箇所が設けられた。入場者の中には従来エスカレーターの余りの高低差に恐怖感を覚える人もいたが、安全性を図った。また、リニューアルに合わせて1階に総合案内カウンターも新設された。5階に託児サービス(芸劇キッズルーム ミューズ)が、エレベーター横(旧喫茶店)に出来たのも嬉しい話題。子育て世代の方にも展示会やコンサートに来てもらおうとの趣旨だ。専門スタッフが子ども(生後4か月から6歳児)を預かるという。
「芸劇」ギャラリー展示施設の9・10月の展覧会予定は以下の通り。なおアトリエイーストは9・10月、主催事業で使用する。
〈9月〉
ギャラリー1(5F) 9月12日~17日「紙画 智彩会」、19日~23日「としま区民芸術祭 豊島区総合美術展」、25日~29日「第6回美しき手書き文字の世界」
ギャラリー2(5F) 9月12日~17日「第20回臨書と自由書作品コンクール」、21日~23日「としま区民芸術祭 豊島区総合美術展」、25日~29日「オータムクラフトフェスタ」
アトリエウエスト(地階) 9月1日~5日「第18回JRP城北支部写真展ふくろう」、7日~11日「美容界美術家クラブ絵画展」、12日~17日「第8回日本画一会(いちえ)の会展」、19日~23日「第11回豊島フォトクラブ作品展」、24日~30日「サロンDEボンドールの会会員展」
〈10月〉
ギャラリー1 10月1日~7日「第20回新和様・漢字造型書作家協会選抜展」、9日~13日「第25回水墨画振興展」、15日~19日「第15回記念インテリアの書展」、20日~24日「楽書会書展第11回東京展」、26日~28日「内藤望山一門 第19回大象会書展」
ギャラリー2 10月1日~7日「豊島ふくろう・みみずく資料館収蔵 松浦千誉コレクション特別公開」、9日~13日「現代作家秀作展2012」、14日~19日「第6回東京カルチャーヴィレッジ受講生展覧会」、20日~24日「無」、25日~28日「花の作品展」
アトリエウエスト 10月1日~7日「江北・王怡清 二人展」、9日~13日「第20回希鳳会書作展」、14日~19日「NAF展」、20日~24日「書と友禅」、25日~28日「第3回雑司ヶ谷デジカメクラブ作品展」
【関連リンク】 東京芸術劇場
「新美術新聞」2012年9月11日号(第1290号)3面より