現代ドイツが生んだ、世界で最も重要な写真家の一人であるトーマス・ルフ(1958年生まれ)の日本初の回顧展が東京国立近代美術館で開催される。
ルフは、デュッセルドルフ美術アカデミーでベッヒャー夫妻に学び、常に写真がもつ情報性と表現性を検証しながら、写真への新しいアプローチを展開してきた作家。これまでに大判カラーによる友人のポートレート、典型的なドイツ人家庭の室内風景、夜空の星、建築物、新聞写真、ヌードなどをテーマに、トーマス・シュトゥルートやアンドレアス・グルスキー同様、コンセプチュアルな写真作品を制作している。その作品を語る上で欠かせないのがデジタル画像との深い関わりだ。近年の作品では、どれもルフ自身が撮影を行わず、インターネット上の画像など、他者が撮影した写真を素材にしてイメージを再構築し、写真に対する既製概念を揺さぶり続けている。
写真術の発明からおよそ200年が経つが、ルフ自身は「写真を西洋絵画の歴史に例えると、まだ“中世レベル”」と語る。いまだ知らない写真表現の可能性を最先端で切り開き、写真の歴史を創り続けているトーマス・ルフ。2013年に国立新美術館で開催され大きな話題を呼んだ「アンドレアス・グルスキー展」に続き、同じベッヒャー派のドイツ現代写真家による展覧会としても、注目を集めることは必至だろう。「substrat」、「jpeg」、「zycles」、「cassini」、「ma.r.s.」、「photogram」など、初期から未発表の最新作まで約100点を展覧予定。
【会期】2016年8月30日(火)~11月13日(日)
【会場】東京国立近代美術館(東京都千代田区北の丸公園3-1)
【巡回】金沢21世紀美術館=2016年12月10日(土)~2017年3月12日(日)
【関連リンク】トーマス・ルフ展公式ホームページ
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