美術館もシェアの時代?ロッテルダムで収蔵庫をコレクターに貸し出す新たな試み

2016年02月12日 11:45 カテゴリ:最新のニュース

 

来館者に開放された世界初の収蔵庫「the Public Art Depot」

 

 

オランダのロッテルダムにあるボイマンス・ヴァン・ベーニンゲン美術館が建設予定の新棟で収蔵スペースを個人コレクターに貸し出すという新たな試みを予定しているとThe Art Newspaperが報じている。

 

ボイマンス・ヴァン・ベーニンゲン美術館は中世美術から現代美術まで幅広くコレクションする美術館で、2015年には世界中から年間27万人が訪れるオランダ屈指の美術館の一つ。2010年には草間彌生の《Infinity Mirror Room – Phalli’s Field》を購入したことでも知られている。現在14万点以上の作品をコレクションしている同館だが、来館者の目に触れるのはそのうちわずか7%のみ。そこで同館は膨大なコレクションを収蔵・展示する新棟「the Public Art Depot」を2018年に開館させる。

 

「the Public Art Depot」 はロッテルダムを拠点に世界中で活動する建築家集団MVRDVがデザインを担当。鏡面の外観を持つ特徴的な建物には75,000点の作品が収められ、通常の美術館では開放されていない収蔵庫全てを来館者が閲覧可能になるという世界初のオープンストレージだ。ART FORUMによると建設費は約6千万ドル(約67億円)。今回、同館はその「収蔵庫」を建設するに当たり、個人コレクターたちにそのスペースの10%、およそ1600㎡を貸し出すことを計画している。コレクターは1㎡あたり400ドルから450ドルでスペースをレンタルすることができ、追加料金で作品のコンディションレポートなどのオプションも受けることが可能。またコレクターの許可次第では来館者が館のコレクション同様にその作品を見ることもできる。

 

スペースレンタルには美術館スタッフの承認が必要で、最低5年間の使用が義務付けられるが、現時点で60件以上の問い合わせがあるようだ。コレクターたちにとって収蔵庫は常につきまとう問題。また美術館にとっては建設費の一部を捻出できるということもあり、双方にとって利点がある。この美術館の“シェア”はこれから時代の美術館建設あるいは美術館運営にとって、新たなファンディングの手段となりうるのかもしれない。

 

 

 

 


関連記事

その他の記事