3月1日より国立西洋美術館で開催される「日伊国交樹立150周年記念 カラヴァッジョ展」において、《法悦のマグダラのマリア》が世界初公開されることが明らかになった。
同作はカラヴァッジョが死ぬ間際に携えていた3点の絵画のうちの1点とされる作品で、個人コレクションの中から2014年に発見されたもの。カラヴァッジョが殺人を犯してローマを逃亡し、近郊の町で身を隠していた1606年の夏に描かれもので、その4年後の1610年、カラヴァッジョがイタリアのポルト・エルコレで不慮の死を遂げた時、その荷物に含まれていた「1枚のマグダラのマリアの絵」がこれであると考えられている。
科学調査を受け、世界的なカラヴァッジョ研究の権威であるミーナ・グレゴーリ氏が本作を“カラヴァッジョ真筆”と認定。世界で初めて、本作品が公開されることととなった。同作に関しグレゴーリ氏は「そこに認められる数々の様式的特質からカラヴァッジョの真筆であることが明らか」とコメント。同展監修者のロッセッラ・ヴォドレ氏(美術史家・前ローマ国立美術館群特別監督局長官)も「グレゴーリ氏の意見は説得力のあるもので、更なる議論や研究に値するもの。本作が見せる様式的な質や技法的要素はまさにカラヴァッジョ作品のうちに認められるものであり、それゆえにこの作品を本展覧会にぜひとも出展したいと考えた」としており、同作の質の高さに言及している。
また日本側の監修者である国立西洋美術館研究員・川瀬佑介氏は「2015年の11月にヨーロッパ某所で初めて実見する機会を得た時、その質の高さと強烈なインパクトに瞠目した」とし、「全世界に先駆けて日本の美術ファンの皆様にご覧いただくという、類稀な機会」とコメントしている。
なお同展では日本初公開となる作品『バッカス』などを含む、名作約10点と、彼の影響を受けた各国の代表的な継承者たちによる作品計50数点を展示。カラヴァッジョの現存する真筆は60点強と言われており、その中には移動不可能な作品が多数あるため、同展の出品数は日本で過去最多、世界でも有数規模の展覧会となる。
【会期】2016年3月1日(火)~6月12日(日)
【会場】国立西洋美術館(東京都台東区上野公園7-7)
【休館】月曜(ただし、3月21日、3月28日、5月2日は開館)、3月22日(火)
【開館】9:30~17:30(金曜は20:00まで、入館はそれぞれ閉館30分前まで)
【料金】一般1,600円 大学生1,200円 高校生800円
【関連リンク】カラヴァッジョ展公式サイト