六本木ヒルズけやき坂にそびえる宮島達男の巨大なパブリックアート《Counter Void》。3.2mの6つの数字が9から1をカウントダウンする同作は、東日本大震災のあった2日後、2011年3月13日にアーティスト自身の判断によって消灯された。その作品が2016年3月11日、震災から5年を契機に3日間のみの再点灯を迎えた。(取材・文/橋爪勇介)
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今回の再点灯は職業や世代を超えたメンバーが集まる「Relight Comittee」が中心となり「Relight Days」として実現したもの。再点灯を前に同コミッティーメンバーの橋本隆一氏は「1月に父を事故死で亡くし、《Counter Void》のテーマである生と死を図らずも体感してしまった。しかしこれを何かの縁と思い、このプロジェクトへの想いをますます強くした。再点灯とワークショプを通して、皆様の心に新たな気づきと、学びを与えられたら幸せに思う」と挨拶。
また作者であり、コミッティーメンバーを見守ってきた宮島氏は今回の再点灯に対して以下の通り想いを語った。以下全文。
「東日本大震災から丸5年。消されていた《Counter Void》が今日、静かに再点灯される。まずは亡くなられた犠牲者の方々、そして未だ避難生活をされている皆さんに、1日も早い復興を祈っていきたい。この《Counter Void》、再点灯はコミッティーメンバーが長い時間議論の末、再点灯を決めていただいた。もう眠ってしまった作品を再び使っていただける。そうした決断をしてくれたNPO法人インビジブル、コミッティーメンバー、アーツカウンシル東京、そして《Counter Void》持ち主のテレビ朝日など多くの協力をいただいた皆さんにお礼を言いたい。
5年前のあの日、皆さんはどこで何をしていたでしょうか。交通が遮断され、真っ暗になった東京。帰宅できなかった夜。情報が遮断された世界。限りなき絶望の夜。そうした皆さんの想いを《Counter Void》はもう一度蘇らせるために再点灯される。あの5年前に見た未来の夢、今ここにあるでしょうか。そうしたあの時の想い。遥か東北の同胞への想い。そうした想いを蘇らせていく3日間になっていく。どうか静かに、そして深く想いを巡らせていただければと思っています」
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同作は2016年3月13日(日)の23時59分まで、期間を限定して点灯。12日と13日には数々のワークショップも予定されている。(詳細は「Relight Days」公式ウェブサイトを参照のこと)
《Counter Void》が消されていた意味、そしてまた消される意味について考えたい。