十和田市現代美術館は14日、現館長の藤浩志氏が3月31日付で退任、4月1日より小池一子氏が新館長となる人事を発表した。藤氏は2012年度に同館副館長に就任、14年度より館長を務めてきたが、今後はアドバイザリー・ボード・メンバーとして同館に関わっていくという。
今回館長に就任する小池一子氏は1936年東京生まれ。クリエイティブディレクター、コピーライターとしてキャリアをスタートさせ、1980年には田中一光とともに「無印良品」の創設に参画。以来アドバイサリー・ボードを務めている。また美術分野では1983年から東京都江東区佐賀にあった「食糧ビル」内に、日本初のオルタナティブ・スペース「佐賀町エキジビット・スペース」(~2002年)を創設し、大竹伸朗、森村泰昌、杉本博司ら現代美術の新しい才能を国内外に送りだしたことでも知られている。これまでに手がけた展覧会はヴェネツィア・ビエンナーレ第7回国際建築展 日本館「少女都市」(2002年)、「田中一光とデザインの前後左右」(21_21 DESIGN SIGHT、2012年)など多数。主な受賞に毎日デザイン賞(1985年度)、日本文化芸術振興賞(1995年度)などがある。
同氏は今回の就任に関して「設立準備の段階から委員の一人として参加させていただいた経緯もあり、建築空間、作品群、観客の動線も身にしみて感じております。何をすることが美術館の現在を一層輝かしいものにするのか、十和田の市民の皆様にご相談しながら着実な歩を進めていきたいと思います」とコメントしている。
また今回の人事では副館長に児島やよい氏が就任することも明らかになった。児島氏は1987年から2000年までナンジョウアンアドアソシエイツで勤務後、ヨコハマトリエンナーレ2001の事務局を経て、キュレーター・ライターとして活動。「杉本博司 歴史の歴史」(メゾンエルメス、2003年)や「草間彌 クサマトリックス」(森美術館、2004年)のほか国内外の高橋コレクション展などを手掛けた。現在、慶應義塾大学、明治学院大学、学習院女子大学で非常勤講師を務める。
児島氏は「子育てをしながら、また大学で若い人たちと接する中で、美術館の役割はもっと社会に広がるべきであると痛感します。よりひらかれた十和田市現代美術館を、市民の皆さまとともにつくっていきたいと思います」としている。
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