OTA FINE ARTS & LIXIL GALLERY
九谷焼・赤絵細描の伝統を現代にアレンジし、その超絶技巧で注目される若手陶芸作家・見附正康氏(1975年石川県加賀市生まれ)の展覧会が都内2カ所で開かれている。
見附氏の作品は赤絵の伝統的絵柄(小紋、花鳥風月、人物など)とは異なり、一見コンピューターによって描かれた無機質な線のかたまりのように見える。しかし白磁表面の絵柄に目を凝らせば、教会ドームの天井柄やアラベスク模様、日本の伝統柄などを取り入れた手の込んだ細描だとわかる。そして赤の線描の中にも金や透明な青・緑が織り交ぜられ、線と色彩による複雑な変奏が奏でられていることに誰もが驚嘆する。
2014年の第9回パラミタ陶芸大賞展大賞受賞をはじめ、同年からスイス、ポーランド、ドイツを巡回した「ロジカル・エモーション―日本現代美術展」に招待出品、昨秋はニューヨークのミュージアム・オブ・アート・アンド・デザインにて2012年に金沢21世紀美術館で開催された「工芸未来派」展の海外出張展となる「日本の工芸未来派」展に招待出品され、今後の海外展開が期待される。
また、昨年9月「福永幾夫 見附正康展〈陶芸〉」展(横浜タカシマヤ)、今年3月「磁器の表現四人展」(和光ホール)でも初日完売を果し、アートマーケットでの注目度がヒートアップしている。
六本木、オオタファインアーツの「見附正康 個展」では、大皿5枚(径50cm弱)と蓋物1点(高さ12.5×径19.5cm)の計6点が展示されている。蓋物は展示台に飾られ、大皿5枚は壁に取り付けられている。展示空間を広く設え、大皿や蓋物ということを感じさせない、現代作品として楽しむことができる。
一方、京橋のLIXILギャラリーでは「見附正康・西田健二の+α展」が開かれ、見附作品の素地(白磁焼物)を成形する轆轤師・西田健二氏(1973年石川県能美市(旧寺井町)生まれ)との2人展が開かれている。両氏は分業による協働でひとつの作品を制作、今展ではそれぞれが制作した作品を展示することで、ひとつの作品に結晶している複眼の思想をひも解こうというねらいがある。
見附氏の赤絵細描による大皿、香合、蓋物、西田氏の青白磁の香合や水注などと、両氏による協働作品を含めた15点が展示されている。(取材・文/窪田元彦)
【展覧会名】見附正康 個展
【会期】2016年2月27日(金)~4月9日(土)
【会場】オオタファインアーツ(東京都港区六本木6-6-9 ピラミデビル3F)
【TEL】03-6447-1123
【休廊】日曜、月曜、祝日
【料金】無料
【関連リンク】オオタファインアーツ
【展覧会名】見附正康・西田健二の+α展
【会期】2016年3月10日(木)~5月5日(木・祝)
【会場】LIXILギャラリー(東京都中央区京橋3-6-18 東京建物京橋ビルLIXIL:GINZA 2F)
【TEL】03-5250-6530
【休館】水曜
【料金】無料
【関連リンク】LIXIL ギャラリー