2012年11月18日より、国際交流基金とニューヨーク近代美術館(MoMA)が主催する日本の戦後前衛芸術を紹介した展覧会「TOKYO 1955-1970:新しい前衛」が、MoMAの6階特別展示室で開催されている。
本展では、建築のメタボリズム、50-60年代の具象絵画、実験工房、反芸術、ハイレッドセンター、草月アートセンターの活動など、東京を舞台にして多分野で起きた前衛的な運動の諸相を検証。MoMAのコレクションや国内所蔵作品など約300点を展示している。「新しい前衛 (A New Avand Garde)」という副題にこめた意味について、チョン氏からは次のような回答を得た。
「20世紀前衛史が一般に理解されている中で、戦後日本の前衛は依然研究途上で知られていません。一般にというのは、西洋だけではなく、日本、アジア、世界においてということです。この10年ほどは日本でこのテーマに関する多くの研究や展覧会が見られ(これは自分のリサーチに非常に役立ちました)、またアメリカやヨーロッパでもかなりの数に上りましたが、まだ馴染みのあるテーマには思えません。そこで「新しい」のです。
戦前には既に前衛の流派があったことは事実です。例えば、村山知義とMAVOや、活発なシュールレアリストが日本に存在していました。戦後のアーティストは、その点に関して強い意識があり、瀧口修造のような重要人物を通じて、その流れは継続していきました。よってこの展覧会は美術史における特定の時期に焦点を当て、まだ多くの研究対象があることを示しています。」
本展の会期は2013年2月25日まで。MoMAでは現在、戦後の日本映画を特集した「アートシアターギルドと日本のアンダーグラウンド 1960~1984年」も開催中である(こちらは2月10日まで)。「TOKYO 1955―1970」展の詳細レポートは、追って掲載を予定している。
<関連イベント> ※参加無料、事前申込不要
記念国際シンポジウム
「戦後日本美術の新たな語り口を探る
―ニューヨークと東京、二つの近代美術館の展覧会を通して見えてくるもの」
【日時】 2012年12月23日(日)13:00~17:00(開場12:30)
【会場】 東京国立近代美術館 地下1階講堂
【パネラー】
ドリュン・チョン(ニューヨーク近代美術館(MoMA)アソシエイト・キュレーター)
ガブリエル・リッター(ダグラス美術館アシスタント・キュレーター)
鈴木勝雄(東京国立近代美術館主任研究員)
林道郎(上智大学国際教養学部教授)
前山裕司(埼玉県立近代美術館主席学芸主幹)
※逐次同時通訳付き
【関連リンク】 国際交流基金 The Museum of Modern Art 東京国立近代美術館