東京・虎ノ門、台北駐日経済文化代表処「台湾文化センター」では、台湾と日本の現代美術家による初の交流展「不思議の旅―台日現代芸術交流展」が開幕した。
今展は台湾の台北当代芸術館(MOCA Taipei)と国立台北芸術大学関渡美術館との共同企画で、台湾人アーティスト・彭弘智(ポン・ホンヂィ)と写真家・蜷川実花の代表的作品を紹介、台湾文化センターの空間特性に合わせた展示が実現した。2人のアーティストの特徴、文化的背景、両者が共鳴し合う時代的意義を同時に表現、照らし合わせようとの意図がある。
彭弘智は、アートと宗教、人間性などのテーマを巧みに結合し、ユーモアや皮肉な手法で社会の様態とマイノリティの問題を探し出す。作品の中では擬人化した犬や日常的なものを使い、人間主体の本質を問いかける。自己反省と批判性の強い彭のビデオ作品と比べ、蜷川実花は自己の領域を拡大し続け、「写真」が単なる記録媒体ではなく、自己主張と自己実現の媒介と手段であることを示す。その映像は伝統文化と現代美術を融合し、個人表現と流行文化の間に新たな道を切り開いている。
蜷川実花は、白菊に色水を吸わせ鮮やかな色花に仕立てたシリーズ「FLOWER ADDICT」を紹介。タイトルが示す通り、花に魅了され、酔うような艶やかな色の競演。写真を透過性フィルムに転写し、陽の光を活かしたステンドグラスのような効果で展示している。人が欲望のままに改造した品種は、目が覚めるように美しくなっても、その人工的でいびつな生態のため決して長くは生きられない。無理やり色水を吸わされた花は短い時間で枯れてしまうが、そういった生き方をありのままに受け入れ、またそういった生き様に刹那的な美を見出すのが蜷川の写真の特徴でもある。
【会期】2016年4月1日(金)~5月27日(金)
【会場】台北駐日経済文化代表処 台湾文化センター(東京都港区虎ノ門1-1-12 虎ノ門ビル2階)
【TEL】03-6206-6180
【休館】土・日曜、祝日
【料金】無料
【関連リンク】台湾文化センター