35mmフィルムによるスライドショーという形式でのみ発表を続ける写真家・トヨダ ヒトシが、原美術館中庭で二夜限りの上映を行う
1986年の渡米をきっかけに独学で写真を始めたトヨダは93年よりニューヨークを拠点にし、ブロードウェイ沿いの駐車場やチャイナタウンの公園、教会、劇場といったパブリックスペースにおいて、アナログのスライド映写機を自ら操作し上映するライブスライドショーという形式で、映像日記作品を発表しはじめる。2000年からは日本各地の美術館やギャラリーといったアートスペース、山奥の廃校になった小学校の校庭、三内丸山遺跡、米国各地の映画祭・芸術祭、また「ヨコハマトリエンナーレ2014」などで上映を続けており、2012年に日本に拠点を移した。
今回は、新たに構成された映像日記作品「spoonfulriver」に加え、最近作「for Nine Postcards」を上映。後者は、日本の環境音楽の第一人者、故・吉村弘が生前撮影したスライド写真を、トヨダが氏とその音楽へのオマージュとして編んだ異色の作品となる。1980年頃、風景の波動をとらえた新しい音楽を模索していた吉村は、現代美術館として開館したばかりの原美術館を訪れ、その佇まいや窓ごしに見た木々の眺めに感銘を受けたという。その後、原美術館の空間に広がる「音の風景」を試したいという吉村の希望を受け、完成した音楽を館内で流したことがきっかけとなり、初のアルバム『ナイン・ポストカード』(1982)が誕生する。今回の上映は、吉村弘の音楽とその生の輝きを、原美術館でもう一度再生する試みとなる。
■第一夜:8月13日(土) 19:15開演
spoonfulriver ひと匙の河 2007-2016 / 70min. / 35mm slide film / silent
■第二夜:8月14日(日) 19:15開演
for Nine Postcards 2015 / 40min. / 35mm slide film / sound
※ポストパフォーマンストーク(第二夜上映後、約30分) 水沢勉(神奈川県立近代美術館館長)×トヨダ ヒトシ
【会場】原美術館中庭 ※雨天時はホールにて開催。当日11:00までに同館ウェブサイトにて発表。
【料金】一般 1,800円 学生・原美術館メンバーと同伴者1名まで 1,600円 ※二夜共通券 一般3,500円 学生・原美術館メンバーと同伴者1名まで3,000円(予約制/当日精算/入館料込/全席自由)
【予約】7月1日(金)11:00より原美術館受付または予約専用メールアドレスtoyoda-ticket@haramuseum.or.jpにて受付。
【関連リンク】原美術館