アメリカをはじめ、世界で爆発的なブームとなっているスマートフォン専用アプリ「Pokémon GO」がついに日本でも配信された。
「Pokémon GO」はスマホをかざすと実際の風景にポケモンがARとして出現するもので、プレイヤーはそれを捕獲して自分のものすることができる。またポケモンを捕まえるモンスターボールは、マップ上に現れる「ポケストップ」と呼ばれる、特定の場所で手に入れることができる。このアプリ、米国では日間アクティブユーザー数が2100万人となりスマホ向けゲームとしては過去最高を記録するなど、連日のようにメディアを賑わせており、内閣サイバーセキュリティセンターは配信前にプレイにあたっての注意事項を呼びかけるなど異例の事態となっている。
「Pokémon GO」ではポケモンや『ポケストップ』が美術館や博物館などの文化施設にも出現する。そのためアメリカではホロコースト記念博物館が館内での「Pokémon GO」プレイを控える声明を出しており、場所によってはプレイ自体が「不謹慎である」と捉えられる可能性もある。(これに関しオブザーバー紙は「Pokémon GOがプレイできるがすべきではない場所」という記事を掲載した)
また館内でのプレイ、特に展示室内ともなると鑑賞者同士の接触や、作品接触による破損など思わぬ事態を招く危険性も否めない。
その一方、「Pokémon GO」を上手く利用することも可能だ。館内にレアなモンスターや『ポケストップ』がある場合、普段美術館・博物館に足を運ばない層を呼びこむ格好の手段となりうる。そのためには美術館自らが館内および周辺の状況を把握しておく必要がある。
例えば今年の5月にリニューアルオープンしたサンフランシスコ近代美術館(SFMOMA)は館内にあるリチャード・セラの作品にモンスターが現れた様子をツイート。200以上の「いいね」を獲得している。テート・ブリテンも同様に館の近くにポケモンがいることをツイートしており、美術館が「Pokémon GO」を受け入れている様子が垣間見える。
When we say Art is for everyone, we mean it! Zubat loves Richard Serra, who knew. #PokemonGO pic.twitter.com/4bVGgOoRig
— SFMOMA (@SFMOMA) 2016年7月12日
Found this little critter outside #TateBritain today. Have you caught any in @Tate?#PokemonGOuk #PokemonGO pic.twitter.com/GrviTIl9Pt
— Tate (@Tate) July 15, 2016
またMoMAは自館に『ポケスストップ』が2つあることをインスタグラムで発信。それとともに同館コレクションに「パックマン」や「マインクラフト」などのゲームコレクションがあることもアピールしており、巧みな活用方法と言えるだろう。
このように海外の美術館ではいち早く「Pokémon GO」を歓迎し、付き合い始めている様子がうかがえるが果たして日本の美術館はどのような反応を示すだろうか。今後の対応に注目が集まる。
(文/橋爪勇介)