近代日本を代表する実業家・初代根津嘉一郎（1860～1940）の蒐集品を基礎に、日本・東洋古美術の広いジャンルにわたるおよそ7,400件のコレクションを擁する根津美術館で、コレクション展「はじめての古美術鑑賞―絵画の技法と表現―」が開催されている。

近年、仏像や刀剣に夢中な若い女性たちが大きな話題となり、琳派や若冲の展覧会が人気を集めるなど、日本の古美術に対する関心が高まりつつある。一方で、相変わらず日本美術は西洋美術に比べて見どころが分かりにくい、あるいはなんとなく敷居が高い、という声も少なくない。その原因のひとつには、日本の古美術の展覧会で目にする解説に見慣れない専門用語が多いことも挙げられるだろう。

同展は、そうした専門用語を作品を通じて分かりやすく解説することで、鑑賞者が日本の古美術の面白さやすばらしさをさらに深く体感できるようにしようというもの。今回は絵画の技法やその用語を、とくに墨と金の使用法を中心に紹介する。重要文化財、重要美術品含むおよそ30点による展観である。

また、墨や硯、筆などの文房具から蒔絵の硯箱まで、書く楽しみを深め、机上の飾りとしても好まれた作品を展示する「書く楽しみ」（展示室5）、同館の基礎となるコレクションを蒐集した根津青山（初代 根津嘉一郎）が、しばしば催した軽井沢での茶事の道具の取合せを再現する「根津青山の軽井沢の茶」（展示室6）など、同時開催のテーマ展示にも数々の優品が出品。日本画家で截金師の並木秀俊氏による講演会「煌めく絵画―日本の金箔技法―」やスライドレクチャー、特別催事「茶杓をけずってみよう」など数々の関連プログラムも予定されている。

【展覧会】コレクション展 はじめての古美術鑑賞―絵画の技法と表現―

【会期】2016年7月23日(土)～9月4日(日)

【会場】根津美術館 展示室1･2（東京都港区南青山6-5-1）

【TEL】03-3400-2536

【休館】月曜

【開館】10:00～17:00（入館は16：30まで）

【料金】一般1,100円　学生[高校生以上]800円　中学生以下無料

【関連リンク】根津美術館