[寄稿] 東京都写真美術館 リニューアル・オープン:笠原美智子

2016年08月26日 18:14 カテゴリ:最新のニュース

 

今後は「TOP(トップ)」、総合開館20周年第一弾は「杉本博司 ロスト・ヒューマン」展

 

 

東京都写真美術館はいよいよ今年、総合開館20周年を迎え、9月3日(土)にリニューアル・オープンする。約2年にわたる大規模改修では美術館のミッションである作品の収集、文化の継承を続けていくために、収蔵庫や展示室の機器やシステムを改善した。写真や映像は、紙やフィルムといった温湿度の変化や光に弱い脆弱な支持体に化学反応させて画像を定着させたメディアである。照明は環境負荷の低減に配慮すると共に、作品保護にも優れ作品が引き立つ最適な美術専用LED照明に変更した。すぐれた良質の照明機器を採用するため、学芸員全員が議論を重ね、照明テストを繰り返した。

 

東京都写真美術館は総合開館当初、年間20万人の来館者を想定していたのだが、それが幸運にも2003年以降、年間40万人のお客様をお迎えした。想定外のお客様は喜ばしい限りだが、美術館を取り巻く大きな環境の変化に対応することが難しくなり、休館前には設備が限界を迎えていた。

 

この度、リニューアルした美術館はエレベーターを1基増設して、2基となり、メインエントランスは光のデザインを多用した、洗練されて開放的な空間に生まれ変わった。2階ロビーは質の高い映像・音響機器やネットワーク環境を整え、多様な文化圏から集まるお客様の交流にふさわしい共有スペースとして活用できるようになった。美味しいカフェと素敵なショップもお目見えしたことで、さらに魅力的になる。

 

今回のリニューアル・オープンを象徴するのは新しいシンボルマークとロゴである。若手職員が中心となって、若手デザイナーの指名コンペで決定した。写真美術館の英語名はTokyo Metropolitan Museum of Photographyを使っていたが、「美術館」であることを明確に表現したTokyo Photographic Art Museumに変更し、Tokyo のToとPhotographic ArtのPをとって、愛称を「TOP」とした。写真・映像分野の最高の美術館を目指すという意味で、志やよしとご理解いただきたい。これまでシャビという愛称が定着していたが、今後はトップと呼んでいただきたい。

 

リニューアル・オープン、総合開館20周年記念の第一弾は「杉本博司 ロスト・ヒューマン」展である。改修したばかりのまっさらな展示室を、なんと廃墟と化して大胆なインスタレーションを展開している。最新作の《廃墟劇場》は世界初公開となる。今後もトップミュージアムは、一筋縄ではいかない様々な企画でお客様をお迎えする予定である。どうかご期待ください。

(東京都写真美術館 事業企画課長)

 

「杉本博司 ロスト・ヒューマン」展

【会期】2016年9月3日(土)~11月13日(日)

【会場】東京都写真美術館2階・3階展示室(東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内)

【TEL】03-3280-0099

【休館】月曜、9月20日(火)、10月11日(火) ※ただし9月13日(月)、10月10日(月)は開館

【開館】10:00~18:00(木・金曜は20:00まで、入館は閉館30分前まで)

【料金】一般1000円 学生800円 中高生・65歳以上700円

 

【関連リンク】東京都写真美術館

 

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