来夏開催となる「ヨコハマトリエンナーレ2017」のタイトルが、「島と星座のガラパゴス」(英題:Yokohama Toriennnale 2017 “Islands, Constellations and Galapagos”)に決まった。10月11日の記者会見には、構想会議メンバーのスハーニャ・ラフェル、スプツニ子!、リクリット・ティラヴァーニャ、養老孟司、そしてディレクターズの逢坂恵理子、三木あき子、柏木智雄の7氏が登壇し、そのコンセプトについて語った。
「島」「星座」「ガラパゴス」は、孤立や接続性、想像力や指標(道しるべ)、独自性や多様性など、色々な捉え方のできるキーワード。先行きの見えない複雑な時代に想像力・創造力をもって、未来への知恵を考えていくことを目指す。同タイトルについて、香港に開館するM+のエグゼクティブ・ディレクターに就任するスハーニャ・ラフェルは「スリランカという島で生まれオーストラリアという島でキャリアを積んだ自分にとって、海に浮かぶ島々はとても身近なコンセプト」と述べる。また解剖学者の養老孟司氏は「ガラパゴスと聞いてまず思い出すのは‟ガラケー”でしょう。デジタル機器やインターネットの中にあるものは0と1、すなわちコピー。アートはそれとは逆に、0と1では割り切れないものを伝えることができる」とアートの可能性について語った。
6度目の開催となる今回目指すのは、「横浜らしい」トリエンナーレ。横浜美術館副館長・主席学芸員の柏木智雄氏は、「江戸時代までは小さな村に過ぎなかった横浜がご開港を機に発展してきた、その歴史や背景を踏まえた展覧会にしたい」と述べている。
会期は2017年8月4日から11月5日まで。横浜美術館、横浜赤レンガ倉庫1号館をメイン会場とし、そのほかにも横浜市開港記念会館などいくつかの会場での展示を検討している。参加アーティストは来年の春に改めて発表される。
これまでは過去3回(2001、2011、2014)設置されてきた「アーティスティック・ディレクター」は置かず、逢坂氏、三木氏、柏木氏の3名による「ディレクターズ」体制で臨む。加えてジャンルや世代を超えた国内外の9名から成る「構想会議」を導入するなど、「対話すること」も重要なテーマの一つになっていることがわかる。会期に先立つ2017年1月からは、定期的に連続シンポジウム「ヨコハマラウンド」を開催。視覚体験、すなわち展示に限定されない「対話・議論」「思考」「共有・共生」の場づくりを目指し、タイトルに関係する諸問題や可能性について、社会学・経済学など多様な視点を含め、大学など公共機関と連携しながら議論していく。
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