岡倉天心『茶の本』の思想を背景に―不忍池を彩る花火やチームラボのインスタレーション
東京・上野の上野恩賜公園で10月21日(金)から23日(日)までの3日間、日本文化と芸術のイベント「TOKYO数寄フェス」が開催される。
主催する上野「文化の杜」新構想実行委員会は、2020年の東京五輪に向けて、上野を文化交流の発信拠点にするべく昨年9月に発足。2020年までに上野への来訪者3,000万人を具体的な目標とし、上野の文化施設共通入場券「UENO WELCOME PASSPORT」の発行やポータルサイトのオープンなど様々な取り組みを実施してきた。今回は、スポーツ庁、文部科学省、文化庁が主催する国際会議「スポーツ・文化ワールドフォーラム」の関連事業のひとつとして、日本文化を国内外に発信する。
「TOKYO数寄フェス」では、岡倉天心(1863~1913)が著した『茶の本』の思想を背景に、天心が同書で語った「数寄」という言葉を軸としたアート作品の展示やワークショップ、コンサート等を、上野恩賜公園内各所をはじめ、国立西洋美術館や東京藝術大学など「上野の杜」全域で展開する。
実行委員会会長を務める東京藝術大学彫刻科の北郷悟教授は「数寄という言葉は、“好き”や“空き”、非対称であることを示す“数奇”などの意味を有する自由で広がりのある言葉です。現代アートにも通じるかのような、天心が説いたこの美意識を、日本特有の伝統的なものとして世界に広く伝えたい」。同時に「私たちには、上野の豊かな自然や景観を守りたいという気持ちもある。だからこそ、このイベントは、“ものありき”ではない、空間に調和するアートを紹介する」と語る。
来年以降も継続してアートイベントを開催し、18年には各国の若手アーティストを招聘する国際芸術展の構想もあるという。
主なアート作品は以下。そのほか、今夏世界文化遺産に登録された国立西洋美術館でのコンサートや特別講演、国立科学博物館や上野動物園、東京都美術館を会場とするワークショップなど、多様な催しが予定されている。詳細は「TOKYO数寄フェス」公式サイトまで。
■日比野克彦+島田清夏《不忍池ファイヤーアート 和火・茶火(わび・さび)》
=静寂の池に咲く侘び寂び、不忍の闇を彩るファイヤーアート
日時:10月21日(金)18:30~(15分)/会場:不忍池(ボート池)
■大巻伸嗣《Memorial Rebirth》
=上野の杜に舞うシャボン玉アート
日時:10月21日(金)・22日(土)・23日(日) 1日3回30分程度/会場:噴水広場東側
■鈴木太朗 + 東京藝術大学 美術学部デザイン科 空間・演出研究室《ミナモミラー》
=不忍池の水面に映り込む光の軌跡で新たな池の表情を作り出すアート
日時:10月21日(金)・22日(土)・23日(日) 日没後/会場:不忍池(ボート池)
■チームラボ《浮遊する、呼応する球体》
=光のボールアート。ボールに触れると、光の色が変わり音色が響く
日時:10月21日(金)20時~22時、22日(土)と23日(日)17時~21時/会場:弁天堂
■橋本和幸《ITOEN ティーテイスターフォレスト》
=伊藤園のティーテイスターによる新たなお茶のカタチを提案する空間アート
日時:10月21日(金)・22日(土)・23日(日) 10時~18時/会場:噴水広場
■藝祭御輿
=藝祭で学生が制作したお御輿の優秀作5基を展示
日時:10月21日(金)・22日(土)・23日(日) 終日/会場:噴水広場
【会期】2016年10月21日(金)、22日(土)23日(日)
【会場】上野恩賜公園各所(不忍池、噴水広場 他)、東京国立博物館、国立科学博物館、国立西洋美術館、東京都美術館、上野動物園、東京藝術大学
【ディレクター】藤崎圭一郎(東京藝術大学デザイン科教授)
【主催】上野「文化の杜」新構想実行委員会、アーツカウンシル東京(公益財団法人 東京都歴史文化財団)
【協賛】株式会社伊藤園
【協力】東京藝術大学演奏藝術センター、松坂屋上野店
【関連リンク】TOKYO数寄フェス 上野「文化の杜」ポータルサイト