京都国立博物館(以下、京博)の公式キャラ「トラりん」が注目を集めている。今夏行われた「ミュージアム キャラクター アワード 2016」では、2位以下に大差をつけて優勝。全国の美術館・博物館キャラの人気日本一となった。そんなトラりんが10月21日に上京し、東京国立博物館(以下、東博)で「トーハクくん・ユリノキちゃん」と共演。ミュージアムとキャラクターの相乗効果について聞いた。
モチーフとなったのは、京博所蔵の尾形光琳筆《竹虎図》。本来猛々しいはずの虎がデフォルメされ、やんちゃに描かれた愛嬌たっぷりの作品だ。トラりんのフルネームは「虎形 琳丿丞(こがたりんのじょう)」で、名づけ親は同館館長の佐々木丞平氏。2015年10月、特別展覧会「琳派誕生400年記念 琳派-京(みやこ)を彩る-」の開催にあわせてデビューした。ミュージアムショップのグッズは人気を集め、小さなぬいぐるみは月に300個の売れ行きをみせる。ちなみにグッズはオンラインショップでも購入可能。トラりんは現在、京博のみならず、文化財保護基金のPR大使としても活躍する。
トラりん誕生から1年が経ち、京博の担当者は「博物館に対するイメージが変わってきたのでは」と語る。「博物館の敷居が下がり、よい意味でイメージが変わったという声を多くいただきます。これまで来館者は40~60代の年齢層が中心でしたが、今は20~30代の来館者も増えてきている。トラりんをきっかけに来館される方も多く、まさに”博物館の入り口”となっています」。継続的な活動には労力もコストもかかるが、そんな中で着実に人気を集めたトラりんは一つの先行事例といえるだろう。キャラクターを通じてこれまでとは違った形で館に親しんでもらうことは、大きな可能性を秘めている。
普段の主な活動は、来館者との交流。毎週金・土・日・祝日に一日5回館内に登場し、一緒に写真を撮るなどして訪れた人と触れ合う。10月からは館内に「トラりんポスト」も設置。手紙を書くと、トラりんからの返事が届くかもしれない。ほかにもチラシなどの広報物に登場したり、子ども向けワークショップに参加するなど、館内で引っ張りだこの存在だ。またこまめに更新されるブログやTwitter・Facebookは、写真・文章ともに人気を集め、遠方のファンへのアピールにも繋がっている。来年2月4日にはKITTE 1階アトリウムで開催される「京あるき in 東京2017」オープニングイベントに出演予定。
それと「ゆるキャラグランプリ2016」1位の高知県須崎市のしんじょう君、おめでとね☆ね☆
鍋焼きラーメン、貸してくれてありがとリン♪
こんのすけくんも、企業・その他ゆるキャラ部門で2位!おめでとリーン♪
また、みんなに会えるといいなぁ…zZZ☆.。#トラりん #京都国立博物館 pic.twitter.com/s0vMw05FeI— 京都国立博物館 トラりん (@TORARINOFFICIAL) 2016年11月6日
今年11月、「ゆるキャラグランプリ」に初出場。1位をとった「しんじょう君」とも仲良し
東京国立博物館のトーハクくんとユリノキちゃんは、2012年、東博140周年を記念し誕生したキャラクター。これまでは広報物やHPに登場してきたが、今年4月に東博の広報大使に就任したと同時に活動の場を広げた。現在は館内イベントに不定期で参加し、その度にじわじわとファンを集めてきている。
トラりんとトーハクくん&ユリノキちゃんの活動は、それぞれHPからチェックできる。館蔵品などを活かしたユニークなキャラたちが、美術館・博物館の魅力をアツく、時にゆるく紹介していく日の到来は近いのかもしれない。
(取材・撮影:岩本知弓)