東京都現代美術館が企画する「MOTサテライト 2017春 往来往来」が、来年2月11日より開催される。
『MOTサテライト』は現在休館中の同館が「地域の一員として」外に出て、近隣のさまざまな拠点と協力し、アーティストや地域住民とともにまちの魅力を掘り起こしていく試み。舞台となる清澄白河エリアは、遠い昔、松尾芭蕉が居を構え、隅田川を上って「おくのほそ道」の旅へと出発した地でもある。この旅で芭蕉が達した「不易流行(変わらない本質的なものと、時代によって革新されていくものとが結びつくこと)」という境地は、川と運河に囲まれてゆるやかに変化し続けてきた同エリアが、時代を超えて培ってきた精神。今企画を通し、人々の思いや記憶の往来の舞台となってきたまちの姿を感じながら、新たな往来へと出発することを目指す。
参加アーティストは毛利悠子、松江泰治、飯山由貴、花代ら。これまで清澄白河を生活拠点や作品のモチーフとしてきた作家から、はじめて出会う作家まで、それぞれの視点でまちの姿を描き出す。東京国立近代美術館での個展も記憶に新しい吉増剛造は、新進気鋭の詩人や俳人、小説家たちとともにまちを歩き、芭蕉や小津安二郎といったゆかりの人たちの存在をたよりに、土地の持つ多層的な時間を切り取る。また清澄白河在住の詩人カニエ・ナハと、斬新なタイポグラフィで注目を集めるデザイナー大原大次郎は、コーヒー・ロースタリーやカフェ、アトリエやショップなどの軒先に詩を宿らせる。
そのほかには、ひがしちか(Coci la elle)やごはん同盟などによる、同エリアを拠点とする個性豊かな活動を紹介。mi-ri meterや佐野文彦といった立場の異なる建築家たちと、コミュニティやまちのかたちについて考える場も設けられる。参加作家一覧は以下。
飯山由貴+remo[NPO法人記録と表現とメディアのための組織]
カニエ・ナハ+大原大次郎
クサナギシンペイ
ごはん同盟
佐野文彦
花代
ひがしちか(Coci la elle)
松江泰治
mi-ri meter
毛利悠子
吉増剛造プロジェクト
【会期】2017年2月11日(土・祝)~3月20日(月・祝)
【会場】清澄白河エリアの各所
【主催】東京都、東京都現代美術館・アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)
【協力】深川資料館通り商店街協同組合/ 江東区深川江戸資料館ほか
【関連リンク】東京都現代美術館