ルノワールに67万人!西洋美術巨匠強し―2016年後半の主な展覧会を振り返る

2016年12月27日 18:56 カテゴリ:最新のニュース

 

国立新美術館「オルセー美術館・オランジュリー美術館所蔵 ルノワール展」内覧会にて

国立新美術館「オルセー美術館・オランジュリー美術館所蔵 ルノワール展」内覧会にて

 

2016年後半(7~12月)にかけて全国の美術館・博物館で開催された主な大型展覧会の入場数を、各主催者に調査取材した。前半は“真夏の5時間待ち”の若冲ブームで沸いたが、後半に入ると「ルノワール展」(国立新美術館)が約67万人で最大動員、続いて「ゴッホとゴーギャン展」(東京都美術館)、「ダリ展」(国立新美術館)が約39万人と、西洋美術の近現代の巨匠人気はやはり強かった。かつて「口コミ」といわれた展覧会人気の情報発信は、いまやSNSに変わりつつある。

 

2016年後半の主な大型企画展入場者数(会期順)

展覧会名

会期

会場

主催

入場者数

入場者数/日

オルセー美術館・オランジュリー美術館
所蔵 ルノワール展

4/27~8/22
(104)

国立新美術館

国立新美術館、オルセー美術館、オランジュリー美術館、日本経済新聞社

667,897

6,422


ポンピドゥー・センター傑作展

6/11~9/22
(90)

東京都美術館

東京都美術館、ポンピドゥー・センター、朝日新聞社、TBS

206,462

2,294


古代ギリシャ―時空を超えた旅―

6/21~9/19
(80)

東京国立博物館

東京国立博物館、ギリシャ共和国文化・スポーツ省、朝日新聞社、NHK、NHKプロモーション

199,567

2,495


大妖怪展 土偶から妖怪ウォッチまで

7/5~8/28
(50)

東京都江戸東京博物館

公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都江戸東京博物館、読売新聞社

217,674

4,353


始皇帝と大兵馬俑

7/5~10/2
(79)

国立国際美術館

国立国際美術館、陝西省文物局、陝西省文物交流中心、NHK大阪放送局、NHKプラネット近畿、朝日新聞社

230,559

2,918

ジブリの立体建造物展

7/15~9/25
(66)

豊田市美術館

豊田市美術館、中日新聞社、中京テレビ放送

294,258

4,458


東山魁夷 自然と人、そして町

7/16~8/28
(39)

九州国立博物館

九州国立博物館・福岡県、西日本新聞社、TVQ九州放送、日本経済新聞社

133,002

3,410


ダリ展

9/14~12/12
(78)

国立新美術館

国立新美術館、ガラ=サルバドール・ダリ財団、サルバドール・ダリ美術館、国立ソフィア王妃芸術センター、読売新聞社、日本テレビ放送網、BS日テレ

388,557

4,982

生誕300年 若冲の京都 KYOTOの若冲

10/4~12/4
(55)

京都市美術館

京都市美術館、MBS、京都新聞

224,821

4,088

ゴッホとゴーギャン展

10/8~12/18
(62)

東京都美術館

東京都美術館、東京新聞、TBS

391,721

6,318

第68回正倉院展

10/22~11/7
(17)

奈良国立博物館

奈良国立博物館

208,614


12,271

●調査対象:主に2016年後半に開かれた大型展覧会を任意で抽出し、開催館と主催メディアにアンケートを送付。64件の返答があった。
●会期:カッコ内は開催日数。 ●入場者数:主催館発表による。

 

《ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会》をはじめ傑作が揃った「オルセー美術館・オランジュリー美術館所蔵 ルノワール展」は、4月下旬から8月の夏休みにかけ開かれた。会期も104日と長かったが、1日当たり入場者が6000人を超えたのは印象派の巨匠の魅力を再発見させた。39万人を突破した「ゴッホとゴーギャン展」は、日本では初めてゴッホとゴーギャンの”2人”をテーマとし人気を集めた。「ダリ展」も会期終盤にかけて大変な盛り上がりをみせて約39万人。展覧会は06年「生誕100年記念 ダリ回顧展」(上野の森美術館、朝日新聞社・フジテレビの共催)を凌ぐ規模内容でありながらも、その時の50万人には届かなかった。

 

国立新美術館「ダリ展」の行列

国立新美術館「ダリ展」の行列

 

生誕300年の若冲関連では大規模な企画展「若冲の京都 KYOTOの若冲」があり、他に「伊藤若冲―京に生きる画家―」(6月25日~9月4日、京都・細見美術館)なども充実した内容で開かれた。現在は特集陳列「生誕300年記念 伊藤若冲」(12月13日~17年1月15日、京都国立博物館 平成知新館)が開催中。

 

「大妖怪展 土偶から妖怪ウォッチまで」は江戸博で22万人近くを集め、客層には若いカップルも多かった。主催である読売新聞の担当者は「妖怪展になんで土偶?という疑問。よく見ると怖いけど意外と面白い、その発見が若者の間で受け、SNSなどで盛んに発信されたのでは」と述べる。かつて展覧会の魅力は口コミで伝わり、大量動員に繋がるのが鉄則だったが、いまやそれはツイッターにとってかわったという。

 

「東山魁夷展」の1日入場者数は3400人余、「国民画家」人気は不滅だ。正倉院展は17日間で約21万人。ジブリ、豊田市美術館は開館以来最高の数字。一方「ポンピドゥー・センター傑作選」、「古代ギリシャ―時空を超えた旅―」は伸びなかった。

 

 

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