2016年後半(7~12月)にかけて全国の美術館・博物館で開催された主な大型展覧会の入場数を、各主催者に調査取材した。前半は“真夏の5時間待ち”の若冲ブームで沸いたが、後半に入ると「ルノワール展」(国立新美術館)が約67万人で最大動員、続いて「ゴッホとゴーギャン展」(東京都美術館)、「ダリ展」(国立新美術館)が約39万人と、西洋美術の近現代の巨匠人気はやはり強かった。かつて「口コミ」といわれた展覧会人気の情報発信は、いまやSNSに変わりつつある。
2016年後半の主な大型企画展入場者数(会期順)
展覧会名 | 会期 | 会場 | 主催 | 入場者数 | 入場者数/日 |
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オルセー美術館・オランジュリー美術館 所蔵 ルノワール展 | 4/27~8/22 | 国立新美術館 | 国立新美術館、オルセー美術館、オランジュリー美術館、日本経済新聞社 | 667,897 | 6,422 |
ポンピドゥー・センター傑作展 | 6/11~9/22 | 東京都美術館 | 東京都美術館、ポンピドゥー・センター、朝日新聞社、TBS | 206,462 | 2,294 |
古代ギリシャ―時空を超えた旅― | 6/21~9/19 | 東京国立博物館 | 東京国立博物館、ギリシャ共和国文化・スポーツ省、朝日新聞社、NHK、NHKプロモーション | 199,567 | 2,495 |
大妖怪展 土偶から妖怪ウォッチまで | 7/5~8/28 | 東京都江戸東京博物館 | 公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都江戸東京博物館、読売新聞社 | 217,674 | 4,353 |
始皇帝と大兵馬俑 | 7/5~10/2 | 国立国際美術館 | 国立国際美術館、陝西省文物局、陝西省文物交流中心、NHK大阪放送局、NHKプラネット近畿、朝日新聞社 | 230,559 | 2,918 |
ジブリの立体建造物展 | 7/15~9/25 | 豊田市美術館 | 豊田市美術館、中日新聞社、中京テレビ放送 | 294,258 | 4,458 |
東山魁夷 自然と人、そして町 | 7/16~8/28 | 九州国立博物館 | 九州国立博物館・福岡県、西日本新聞社、TVQ九州放送、日本経済新聞社 | 133,002 | 3,410 |
ダリ展 | 9/14~12/12 | 国立新美術館 | 国立新美術館、ガラ=サルバドール・ダリ財団、サルバドール・ダリ美術館、国立ソフィア王妃芸術センター、読売新聞社、日本テレビ放送網、BS日テレ | 388,557 | 4,982 |
生誕300年 若冲の京都 KYOTOの若冲 | 10/4~12/4 | 京都市美術館 | 京都市美術館、MBS、京都新聞 | 224,821 | 4,088 |
ゴッホとゴーギャン展 | 10/8~12/18 | 東京都美術館 | 東京都美術館、東京新聞、TBS | 391,721 | 6,318 |
第68回正倉院展 | 10/22~11/7 | 奈良国立博物館 | 奈良国立博物館 | 208,614 | 12,271 |
●調査対象:主に2016年後半に開かれた大型展覧会を任意で抽出し、開催館と主催メディアにアンケートを送付。64件の返答があった。 ●会期:カッコ内は開催日数。 ●入場者数:主催館発表による。 |
《ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会》をはじめ傑作が揃った「オルセー美術館・オランジュリー美術館所蔵 ルノワール展」は、4月下旬から8月の夏休みにかけ開かれた。会期も104日と長かったが、1日当たり入場者が6000人を超えたのは印象派の巨匠の魅力を再発見させた。39万人を突破した「ゴッホとゴーギャン展」は、日本では初めてゴッホとゴーギャンの”2人”をテーマとし人気を集めた。「ダリ展」も会期終盤にかけて大変な盛り上がりをみせて約39万人。展覧会は06年「生誕100年記念 ダリ回顧展」(上野の森美術館、朝日新聞社・フジテレビの共催)を凌ぐ規模内容でありながらも、その時の50万人には届かなかった。
生誕300年の若冲関連では大規模な企画展「若冲の京都 KYOTOの若冲」があり、他に「伊藤若冲―京に生きる画家―」(6月25日~9月4日、京都・細見美術館)なども充実した内容で開かれた。現在は特集陳列「生誕300年記念 伊藤若冲」(12月13日~17年1月15日、京都国立博物館 平成知新館)が開催中。
「大妖怪展 土偶から妖怪ウォッチまで」は江戸博で22万人近くを集め、客層には若いカップルも多かった。主催である読売新聞の担当者は「妖怪展になんで土偶?という疑問。よく見ると怖いけど意外と面白い、その発見が若者の間で受け、SNSなどで盛んに発信されたのでは」と述べる。かつて展覧会の魅力は口コミで伝わり、大量動員に繋がるのが鉄則だったが、いまやそれはツイッターにとってかわったという。
「東山魁夷展」の1日入場者数は3400人余、「国民画家」人気は不滅だ。正倉院展は17日間で約21万人。ジブリ、豊田市美術館は開館以来最高の数字。一方「ポンピドゥー・センター傑作選」、「古代ギリシャ―時空を超えた旅―」は伸びなかった。
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