【レポート】2016年展覧会入場者数BEST30

2017年03月10日 19:30 カテゴリ:最新のニュース

 

若冲! 日本の“異端”から世界のメジャーへ
トップは「ルノワール展」66万人、超えられない「40万人の壁」?

 

2016年に開催された大型展覧会を主催者にアンケート調査し、入場者数の結果を会期、会場、1日平均と共に「BEST30」として表にあげた。西洋美術の巨匠が大量動員している傾向は変わらないが、昨年は奇想の画家、とりわけ伊藤若冲ブームに沸いた1年だった。首都圏のみならず各地で大小の「若冲展」があり、年代層も幅広い観覧者が訪れた。さらに鈴木其一や歌川国芳ら異端、奇想の画家たちの展観にも高い関心が寄せられた。

 

2016年展覧会入場者数BEST30

展覧会名

会期

会場

主催

入場者数

1日平均
入場者数

1

ルノワール展

4/27~8/22
(104)

国立新美術館

国立新美術館、オルセー美術館、オランジュリー美術館、日本経済新聞社

667,897

6,422

2

恐竜博2016

3/8~6/12
(88)

国立科学博物館

国立科学博物館、朝日新聞社、テレビ朝日

508,282

5,776

3

ジブリの大博覧会~ナウシカから最新作『レッドタートル』まで~

7/7~9/11
(67)

六本木ヒルズ展望台 東京シティビュー内スカイギャラリー

東京シティビュー

※502,854

※7,505

4

始皇帝と大兵馬俑

15.10/27~2/21
(94)

東京国立博物館

東京国立博物館、NHK、NHKプロモーション、朝日新聞社

483,809

5,147

5

生誕300年記念 若冲展

4/22~5/24
(31)

東京都美術館

東京都美術館、日本経済新聞社、NHK、NHKプロモーション

446,242

14,395

6

カラヴァッジョ展

3/1~6/12
(92)

国立西洋美術館

国立西洋美術館、NHK、NHKプロモーション、読売新聞社

394,006

4,283

7

ゴッホとゴーギャン展

10/8~12/18
(57)

東京都美術館



東京都美術館、東京新聞、TBS

391,721


6,318

8

ダリ展

9/14~12/12
(78)

国立新美術館

国立新美術館、ガラ=サルバドール・ダリ財団、サルバドール・ダリ美術館、国立ソフィア王妃芸術センター、読売新聞社、日本テレビ放送網、BS日テレ

388,557

4,982

9

海のハンター展

7/8~10/2
(82)

国立科学博物館

国立科学博物館、日本経済新聞社、BSジャパン

333,037

4,061

10

村上隆の五百羅漢図展

14.10/30~3/6
(128)

森美術館

森美術館、朝日新聞社、NHKプロモーション

315,271

2,463

11

ボッティチェリ展

 1/16~4/3
(69)

東京都美術館


東京都美術館、朝日新聞社、TBS

304,686

4,416

12

マルモッタン・モネ美術館所蔵モネ展

3/1~5/8
(61)

京都市美術館

京都市美術館(京都市)、マルモッタン・モネ美術館、読売テレビ、読売新聞社

302,312

4,956

13

ジブリの立体建造物展

7/15~9/25
(66)

豊田市美術館

豊田市美術館、中日新聞社、中京テレビ放送

294,258

4,458

14

宇宙と芸術展:かぐや姫、ダ・ヴィンチ、チームラボ

7/30~17.1/9
(164)

森美術館

森美術館、NHK、NHKプロモーション、読売新聞社

270,895

1,651

15

レオナルド・ダ・ヴィンチ―天才の挑戦

1/16~4/10
(76)

東京都江戸東京博物館

東京都江戸東京博物館、毎日新聞社、NHK、NHKプロモーション

270,012

3,553

16

デトロイト美術館展

10/7~1/21
(106)

上野の森美術館   

フジテレビジョン、産経新聞社、ぴあ、上野の森美術館

269,082

2,539

17

あなたが選ぶ“この1点”頂上決戦

8/31~11/30
(92)

足立美術館

足立美術館

235,381

2,558

18

デトロイト美術館展

7/9~9/25
(70)

大阪市立美術館

関西テレビ、産経新聞社

231,781

3,311

19

始皇帝と大兵馬俑

7/5~10/2
(79)

国立国際美術館

国立国際美術館、陝西省文物局、陝西省文物交流中心、NHK大阪放送局、NHKプラネット近畿、朝日新聞社

230,559

2,918

20

六本木クロッシング2016展

3/26~7/10
(107)

森美術館

森美術館

※225,361

※2,106

21

生誕300年 若冲の京都 KYOTOの若冲

10/4~12/4
(55)

京都市美術館

京都市美術館、MBS、京都新聞

224,821

4,088

22

大妖怪展 土偶から妖怪ウォッチまで

7/5~8/28
(50)

東京都江戸東京博物館

東京都江戸東京博物館、読売新聞社

217,674

4,353

23

俺たちの国芳 わたしの国貞

3/19~6/5
(79)

Bunkamura ザ・ミュージアム

Bunkamura、ボストン美術館、日本テレビ放送網、読売新聞社、BS日テレ

215,230

2,724

24

平安の秘仏―滋賀・櫟野寺の大観音とみほとけたち

9/13~1/9
(96)

東京国立博物館

東京国立博物館、櫟野寺、読売新聞社

212,144

2,210

25

マルモッタン・モネ美術館所蔵モネ展

15.12/22~2/21
(52)

福岡市美術館

福岡市美術館、マルモッタン・モネ美術館、FBS福岡放送、読売新聞社

208,994

4,019

26

第68回正倉院展

10/22~11/7
(17)

奈良国立博物館

奈良国立博物館

208,614

12,271

27

ダリ展

7/1~9/4
(58)

京都市美術館

京都市美術館、ガラ=サルバドール・ダリ財団、サルバドール・ダリ美術館、国立ソフィア王妃芸術センター、読売新聞社

208,573

3,596

28

ポンピドゥ・センター傑作展

6/11~9/22
(90)

東京都美術館

東京都美術館、朝日新聞社、TBS

206,462

2,294

29

大英博物館展 100のモノが語る 世界の歴史

15.9/20~1/11
(96)

神戸市立博物館

神戸市立博物館、朝日新聞社、NHK神戸放送局、NHKプラネット近畿

202,231

2,107

30

古代ギリシャ―時空を超えた旅―

6/21~9/19
(80)

東京国立博物館

東京国立博物館、ギリシャ共和国文化・スポーツ省ほか

199,567

2,495

芸術祭入場者数

瀬戸内国際芸術祭 2016

3/20~4/17、7/18~9/4、10/8~11/6
(108)

直島、豊島、女木島等

瀬戸内国際芸術祭実行委員会

1,040,050

9,630

KENPOKU ART 2016 茨城県北芸術祭

9/17~11/20
(65)

茨城県北地域6市町

茨城県北芸術祭実行委員会

776,000

11,938

あいちトリエンナーレ 2016

8/11 ~10/23
(74)

愛知芸術文化センター、名古屋市美術館等

あいちトリエンナーレ実行委員会

601,635

8,130

さいたまトリエンナーレ 2016

9/24~12/11
(79)

与野本町駅~大宮駅周辺等

さいたまトリエンナーレ実行委員会

361,127

4,571

岡山芸術交流 2016 Okayama Art Summit 2016

10/9~11/27
(44)

旧後楽館天神校舎跡地、岡山県天神山文化プラザ等

岡山芸術交流実行委員会

234,080

5,320

みちのおくの芸術祭 山形ビエンナーレ2016

9/3~9/25
(23)

山形県郷土館「文翔館」、とんがりビル等

東北芸術工科大学

60,627

2,636

●調査対象:全国で開催された展覧会の中から、2016年1月~12月に会期がかかるものを任意で抽出。
●会期:カッコ内は開催日数。 ●入場者数:基本的に主催館発表による。 ●「六本木クロッシング2016展」「ジブリの大博覧会~ナウシカから最新作『レッドタートル』まで~」は森美術館・東京シティビュー連動入館者数を記載。

トップはオルセー美術館・オランジュリー美術館所蔵の「ルノワール展」で66万人。《ムーラン・ド・ラ・ギャレット》をはじめ傑作名作が揃い、確かに見応えある内容だった。2位、「恐竜博2016」も50万人を超えた。恐竜ものは各地で幾つも開かれているが、次々と新発見の化石や骨が展示され、話題が広がる。その度に子供から大人までが興味をもって会場を訪れる。見せ方の進化、研究もあって今後も恐竜ブームは確実に続くという。また、表で40万人超えは5展観のみ。38~39万人までは伸びてもあと少しが足りず、40万人の「壁」がある。

 

特筆すべきは、やはり生誕300年の若冲だろう。31日間で1日平均1万4千人の来場者。20年前までは日本ですら殆ど知られず、異端視されていた若冲。それがいまや外国人も驚嘆評価するメジャーアーティストになった。サントリー美術館で開かれた江戸琳派「鈴木其一展」も再評価された。現代的デザイン感覚の《朝顔図屏風》などには多くの観客が見入っていた。さらに渋谷・Bunkamuraでの歌川国芳の大胆な発想の展観には予想以上の来場者があった。今後こうした奇想、異端系の日本画家に目が向けられ、展観されていくのではないかと、新聞社文化事業の関係者は語る。

 

長蛇の列が話題となった若冲展(左)と、『ムーラン・ド・ラ・ギャレット』が展示されたルノワール展(右)

長蛇の列が話題となった若冲展(左)と、《ムーラン・ド・ラ・ギャレット》をはじめ傑作が揃ったルノワール展(右)

 

「芸術祭イヤー」とも言われた2016年の、各芸術祭の入場者数もあわせて調査した。「瀬戸内国際芸術祭」は3つの会期を合わせて104万人。2013年の107万に続き、100万人超えの大台を達成した。また初開催の「茨城県北芸術祭」「さいたまトリエンナーレ」「岡山芸術交流」は、それぞれ当初の目標を超える入場者数を記録。今年も「北アルプス国際芸術祭」や「種子島宇宙芸術祭」が新たに開催されるなど、芸術祭ブームはまだ続きそうだ。その中で「札幌国際芸術祭」は「芸術祭ってなんだ?」を今回のテーマとしており、芸術祭の在り方について内側から考える機会も提供されるだろう。

(編集部)

 

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