最も美しいガラスを探して―MIHO MUSEUMで「和ガラスの美を求めて」展開催

2017年03月06日 11:00 カテゴリ:最新のニュース

 

型吹き草花文色替り三段重 江戸時代(1711~81) 瓶泥舎びいどろ・ぎやまん・ガラス美術館蔵

型吹き草花文色替り三段重 江戸時代(1711~81)
瓶泥舎びいどろ・ぎやまん・ガラス美術館蔵

型吹き紫色割瓢形徳利 江戸時代(1772~1844) 瓶泥舎びいどろ・ぎやまん・ガラス美術館蔵

型吹き紫色割瓢形徳利 江戸時代(1772~1844)
瓶泥舎びいどろ・ぎやまん・ガラス美術館蔵

 

 

江戸から明治、ガラス工芸の粋:東容子(MIHO MUSEUM学芸員)

 

江戸時代「びいどろ」と呼ばれたガラス器は、長崎の出島を通して舶来したヨーロッパのガラス製品への憧れから、17世紀後半に長崎で、その後大坂や江戸で作られ始めた。

 

江戸絵画には、透き通るギヤマン櫛を髪に挿した美人や、金魚玉を持ってほほ笑む少女、足付杯を手に酒宴を楽しむ男たちや、恋人との逢瀬の場面にガラス棒入り虫籠が置かれている情景などが描かれている。

 

当時ガラス器は、日々の暮らしを豊かに洗練させ、晴れの日を輝かせるアイテムであった。庶民の暮らしにガラス器が浸透するにつれて技法も進化し、多彩な色ガラスを使った飲食器や調度品、伝統工芸品にガラスを組み込んだ作品などが生み出されていった。江戸時代は日本のガラス工芸史のひとつの頂点であり、なかでも吹きガラスの飲食器はその花形と言えるであろう。

 

2011年に開館した瓶泥舎びいどろ・ぎやまん・ガラス美術館の創立者大藤範里氏は、和ガラスに魅せられ、約50年に亘って「最も美しいガラスを探す」ことを目標に日本有数のコレクションを形成してきた。本展覧会では、この中より江戸から明治にかけての和ガラスの優品180点を選りすぐり、一堂に展観する。優れた審美眼で形づくられた「瓶泥舎コレクション」の、美術館開設以来初の館外でのお披露目となる。儚く、色鮮やかで、花のように可憐な和ガラスの魅力、江戸時代の職人が到達したガラス工芸の粋をご堪能いただければ幸いである。

 

あわせて、本年秋に迎える開館20周年を記念し、MIHOコレクションから、エジプト、西アジア、中央アジア、中国を含めた古代美術66点を厳選し、「古代オリエント美術の愉しみ ― エジプトから中国まで ―」を開催する。古代の美術品は、積み重なった歴史の必然性が産み出したものである。時代、民族、宗教、地域を超えて、永遠なる至福に憧れ、美を求める心こそ、芸術を生み出す創造力の源泉に他ならない。古代オリエントを巡る壮大な歴史を体感し、いにしえより息づく魅力あふれる造形をお楽しみくだされば幸甚である。

 

薩摩切子銅紅色被せ十字紋入り碗 江戸時代(1851~58) 瓶泥舎びいどろ・ぎやまん・ガラス美術館蔵

薩摩切子銅紅色被せ十字紋入り碗 江戸時代(1851~58)
瓶泥舎びいどろ・ぎやまん・ガラス美術館蔵

 

牡羊小像 原エラム時代 前3000―2800年頃 銀 高9.8cm幅5.1cm長11cm MIHO MUSEUM蔵

牡羊小像 原エラム時代 前3000―2800年頃 銀 高9.8cm幅5.1cm長11cm MIHO MUSEUM蔵
※「古代オリエント美術の愉しみ」展に出品

 

和ガラスの美を求めて―瓶泥舎(びんでいしゃ)コレクション― 同時開催:古代オリエント美術の愉しみ ―エジプトから中国まで―

【会期】 2017年3月18日(土)~6月18日(日)

【会場】 MIHO MUSEUM(滋賀県甲賀市信楽町田代桃谷300)

【TEL】 0748―82―3411

【休館】 月曜、3月21日、5月13日・14日、ただし3月20日は開館

【開館】 10:00~17:00(入館は16:00まで)

【料金】 一般1100円 高・大生800円 小・中生300円

 

■関連講演会

びいどろの粋と美 ―異国の素材と和の融合

講師:岡泰正(神戸市立小磯記念美術館・神戸ゆかりの美術館館長)

日時:2017年4月23日(日) 14:00~15:30

※先着100名(当日10時より整理券配布)、参加無料(要入館料)

 

■ギャラリートーク・本展覧会の解説ツアー

講師:開催館の学芸員、または 教育普及担当

日時:会期中の毎週金曜日14:00~15:00

 

■とっておき美術講座:学芸員による講座とギャラリートーク

古代オリエント美術の愉しみ

講師:稲垣肇(MIHO MUSEUM学芸員)

日時:2017年3月25日(土) 14:00~15:30

和ガラスの美 様々

講師:東容子(MIHO MUSEUM学芸員)

日時:2017年5月20日(土) 14:00~15:30

※①②ともに予約不要、参加無料(要入館料)

 


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