クリスティーズは3月15日、藤田美術館(大阪市都島区)が所蔵する中国美術の名品31点をニューヨークでのオークションに出品。落札総額2億6千280万ドル(約301億円)を記録し、一夜にして、これまでのアジアアートウィーク一連の落札総額を更新した。
出品されたのは殷周時代の祭礼用の青銅器や、大理石の釈迦三尊像、古書画など。事前に開催された下見会の効果もあり、世界各国より強い関心が寄せられ、オークションは大きな反響を呼んだ。トップロットは清の乾隆帝が所有した陳容作の書画《六龍図》で、落札価格は4千896万ドル(約56億円)。同作を含む古書画6点の総額は、1億2千390万ドル(約142億円)となった。また、青銅器のオークションレコードを記録した《青銅儀首饕餮文方尊》(商後期 紀元前13~11世紀)の落札価格は3千720万ドル(約42億6千万円)。(※価格は買い手手数料を含む。日本円参考価格 US$1=114.55円)
東洋美術オークションとして最高落札総額を記録したことについて、クリスティーズのプレジデント、ユシー・ピルカネンは「先月ロンドンで開催された印象派、戦後コンテンポラリーアートのオークショニアをつとめた時もアジアのお客様の強い購買力を感じていたが、それが今回のニューヨークでもそのまま持ち越された」とコメントした。
今回の収益は藤田美術館の施設建て替えなどの費用に充てられる予定。1954年の開館時から使用してきた展示棟や事務所棟などの老朽化対策が長年の課題だったが、6月12日より長期休館に入り、2020年の開館を目指してリニューアル計画を進める。なお同館では現在、休館前最後の展覧会「ザ・コレクション」(~6月11日)が開催中。曜変天目茶碗、紫式部日記絵詞など所蔵の国宝9点や、多数の重要文化財など、同館の中でも特に名品として知られている所蔵品を展示している。
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