美しき踊り子へと続く扉―日本画家・井手康人が創造する新たな東洋の美

2017年04月07日 18:24 カテゴリ:最新のニュース

 

 

日本美術院同人の井手康人による新作展「バリへの扉」が、東京・銀座のナカジマアートで開催されている。

 

井手は1962年福岡県生まれ。93年に東京藝術大学大学院後期博士課程満期退学。87年に春の院展、90年に院展に初入選し、以降受賞を重ねて2009年、13年に日本美術院賞(大観賞)を受賞。14年に日本美術院同人に推挙された。現代日本画壇の次代を担う画家として活躍するとともに、愛知県立大学准教授として後進の指導にも力を注ぐ。

 

インドネシア・バリ島の芸術村で美しい舞踏家ビダニと出会い、以来20年にわたって彼女をモデルに同地に息づく伝統文化、豊かな自然を、岩絵の具の鮮やかな色彩に託して描きだす。美しく健気な踊り子と、信仰厚く、互いを守り助け合って生きる人々の姿は画家を魅了し、彼らとの交流を重ねながら、その画境を深めてきた。

 

 

今展で発表するのは、扉のある額に収められた新作9点。装飾的な文様がほどこされた飾り板の扉を開くと、花に彩られた美しき女性図とともにアンティークの織物が現れ、彼の地の空気を鮮やかに伝えてくれる。加えて画家が蒐集してきたヒンドゥーの祭礼具や婚姻衣装、海岸でとれた貝殻などをあわせて展示し、オリエンタルな世界観を演出。バリの伝統と日本画の融合であるとともに、新たな東洋の美を創造しようとする画家の意思を感じさせる空間となっている。

 

日本橋三越で開催中の「第72回 春の院展」(3月29日~4月10日)には《採花汲水》を出品している。本展とあわせてぜひ足を運んでほしい。

 

日本画作品と織物が収められた額が並ぶ。岩絵の具の美しい色彩、細密な絵肌に魅了される。

 

壁面に展示されたスマトラの貴族の婚姻衣装と銀細工。蒐集した様々な道具が画家の世界に導いてくれる。

 

3月31日に行われたギャラリートークで作品を解説する井手康人

 

【展覧会】井手康人 新作展 バリへの扉

【会期】2017年3月30日(木)~4月12日(水)

【会場】ナカジマアート(東京都中央区銀座5-5-9アベビル3F)

【TEL】03-3574-6008

【営業時間】11:00~18:30

【休廊】無休

 

【関連リンク】ナカジマアート

 


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