郷愁に満ちたパリの裏町の風景―「ユトリロ回顧展」姫路市立美術館で開催

2017年05月17日 11:23 カテゴリ:最新のニュース

 

 

日本初公開24点含む大回顧展:高瀬晴之(姫路市立美術館 学芸課課長補佐)

 

モーリス・ユトリロは、モンマルトルの裏町を描いた画家として、日本で最も人気のある画家のひとりです。このたび、モーリス・ユトリロ協会のセドリック・パイエ氏を監修者とし、ユトリロの初期から晩年までの代表作を国内外から一堂に集め、更に母ヴァラドンと、ユトリロの友人であり、母ヴァラドンの夫であった画家アンドレ・ユッテルの日本初公開作品も含めたユトリロの回顧展を開催いたします。

 

ユトリロは、1883年パリに生まれました、母は画家シュザンヌ・ヴァラドンで、彼女がモデルをしていた頃に生まれました。ヴァラドンは恋多き女で、息子のことは自分の母親まかせだったようで、幼い頃は母の愛に飢えていたようです。学校を卒業後、いくつかの職業につきますが長続きしませんでした。アルコールに溺れて依存症となり、その治療のため医者の勧めで母ヴァラドンが絵を描かせてみました。すると、すばらしい才能を発揮し、画家の道に進むことに決めました。母の助言はあったものの、ほぼ独学で絵を学びました。ヴァラドンが人物画を主体に描いていたのと対照的に、彼は人物にはほとんど興味を示さず、風景を描きました。それも自然の風景よりも建物のほうに興味があったようで、初期から一貫して街角の情景を描きました。1909年にサロン・ドートンヌに初出品。この頃、白を基調とした作品を描いていましたが、これが後に白の時代と呼ばれ、高い評価を得るようになります。

 

1913年にウジェーヌ・ブロ画廊で始めての個展を開催。この個展は評判を呼び、名声を得ます。当館所蔵の《サン=メダール教会とムフタール通り》はこの個展の出品作であり、本展でも紹介されます。1928年にはレジオン・ドヌール勲章を受け、55年にはパリ名誉市民となりましたが、まもなく旅先のホテルで急死しました。

 

本展は、作品と資料、約80点で構成されていますが、その中には日本では初めて公開される作品が24点含まれています。まさにユトリロの画業と人生を振り返る大回顧展といえるでしょう。

 

 

 

 

「ユトリロ回顧展」

【会期】2017年4月8日(土)~7月2日(日)

【会場】姫路市立美術館 企画展示室(兵庫県姫路市本町68-25)

【TEL】079-222-2288

【休館】月曜

【開館】10:00~17:00(入場は16:30まで)

【料金】 一般1,200円 大学・高校生600円 中学・小学生200円

 

■子どもギャラリーツアー

【開催】5月20日(土) 各回先着20名
【会場】企画展示室(企画展の観覧券が必要、当日に限り半券可)
【対象と時間】小学校1~3年生と保護者 10:20~
【対象と時間】小学校4~6年生と保護者 11:30~

 

■ギャラリートーク

【開催】6月10日(土)14:00~ 先着20名
【会場】企画展示室(企画展の観覧券が必要、当日に限り半券可)

 

■映画上映会

【プログラム】①『黄金時代』ルイス・ブリュニエル監督(仏):5月20日(土)14:00~/6月18日(日)14:00~
【プログラム】②『ユトリロ:その生涯と作品』ペトリュデス画廊制作(仏):6月3日(土)14:00~/6月24日(土)14:00~
【プログラム】③『眠るパリ』『幕間』ルネ・クレール監督(仏):6月11日(日)14:00~
【会場】美術館2F講堂(各日先着100名)
【料金】無料

 


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