脳科学研究者にして、日府展などで活躍する洋画家・塚田稔。その11回目の個展が、6月29日より青山のGallery Concept 21で開催される。
塚田は1941年長野県生まれ、現在日府展洋画部理事、玉川大学脳科学研究所名誉教授。「芸術は人間の創造物であり、人生を如何に生きるかの表現である」という思いから、60年余り制作を続けてきた。幼い頃は父に連れられ信州の山々や自然を描き、教授となってからは、研究生活の傍ら1年毎の「心の創造の履歴」を150号の絵にして発表。日府展への出品は30年にわたり、98年には日府賞を、2003年には東京新聞賞を受賞するなど様々な活躍を見せる。
2015年には、ブルーバックス講談社より『芸術脳の科学』を刊行。脳研究の視点から「絵を見るときの思考」、そして「画家が描く時の思考」を解き明かしており、「脳は見たものの特徴を抽出する働きを持つため、絵画における輪郭線はすなわち各人の脳が作り出すもの」という記述も見られる。自身の絵画でも脳科学の知見は活かされており、人間が対象を認識する際に重要な「部分」と「全体」を意識した構図が印象的だ。
今展出品作の《自我の止揚》は「自我の根元を大蛇で表現し、その大蛇に戦いを挑む」様子を描いたもの。「戦っても戦っても、否定しても否定しても破れない自我がいる。その苦しみの谷を超えたところに緑の美しい世界がある」という想いが込められた、内面的な表現となっている。そのほか爛熟してゆくザクロの一生を平面に閉じ込めた《ザクロの乱》、さらにヨーロッパや故郷・安曇野など愛する風景を描いた作品も出品。新作を中心とした約30点が並ぶ。
【会期】2017年6月29日(木)~7月5日(水)
【会場】Gallery Concept 21(東京都港区北青山3-15-16)
【TEL】03-3406-0466
【営業時間】11:00~19:00(最終日15:00まで)
【休廊】無休