輪島塗や山中漆器などの産地である石川を舞台に、1989年より3年に一度開催されている漆の国際公募展「国際漆展・石川」。今回の大賞受賞作は小梛真弓(千葉県)のアート作品《いのち》に決定した。
今展はデザインとアートの2部門から成り、暮らしの中の漆から新しい感性表現としての漆まで、「漆の新しい広がり」を感じさせる作品を世界から広く募集している。大賞を受賞した小梛真弓は2001年多摩美術大学美術学部建築学科卒業。千葉県の願船漆工房で漆芸を学び、「国際漆展石川・2005」の銀賞、「日本クラフト展」(2006年)の日本クラフト大賞など受賞を重ねてきた。乾漆技法により実現した有機的なフォルムが特徴的で、今作では命を感じさせる造形が高い評価を集めた。そのほか受賞理由として「表は黒漆、内は朱漆で塗られた蓋と、木目を活かし摺り漆で仕上げた身の部分からなり、閉じた時には曲線の美しさ、開けた時には木の量感に驚きが感じられる」ことが挙げられた。副賞は100万円。
また金賞は黒木紗世(アート)と杉谷三朗(デザイン)に、銀賞は伊能一三(アート)と吉田宏之(デザイン)の各氏に贈られた。本審査を務めたのは大西長利(漆芸家、東京芸術大学名誉教授)、川上元美((公財)日本デザイン振興会会長、(有)川上デザインルーム代表)、山村真一(デザインコンサルタント、(株)コボ代表取締役社長)、山田節子(デザインコーディネーター、(株)トゥイン代表)、内野 薫(漆芸家、石川県立輪島漆芸技術研修所講師)、田中信行(漆芸家、金沢美術工芸大学教授)、山村慎哉(漆芸家、金沢美術工芸大学教授)の7氏。今回は11の国と地域から176点の応募があった(うち日本99点)。本審査に進んだ作品は10月13日㈮から25日㈬まで石川県政記念しいのき迎賓館で展示され、その後石川県輪島漆芸美術館に巡回する。
【展覧会】国際漆展・金沢2017
【会期】2017年10月13日(金)~25日(水)
【会場】石川県政記念しいのき迎賓館(石川県金沢市広坂2-1-1)
【TEL】076-261-1111
【巡回】2017年11月11日(土)~2018年1月14日(日) 石川県輪島漆芸美術館
【関連リンク】公益財団法人 石川県デザインセンター