〝百十年の伝統と信頼〟「2017東美アートフェア」10/13東京美術倶楽部で開幕

2017年10月04日 15:40 カテゴリ:最新のニュース

 

赤楽茶碗 銘《登り龍》山田山庵 (しぶや黒田陶苑)

赤楽茶碗 銘《登り龍》山田山庵 (しぶや黒田陶苑)

 

 

実作を「見る」「触れる」「学ぶ」―日本の文化・伝統も感じとれる3日間

古美術から現代の作家による作品まで、国内102軒の美術商が参加する「東美アートフェア」が10月13日(金)より開催される。会場は、1907年創立、今年で110周年を迎えた東京美術倶楽部。幅広い時代の多彩な美術品を通して、日本の文化や伝統を感じとれる3日間となるだろう。実作を見る、触れる、そして学ぶという楽しみ方について、広報を担当する廣田登支彦氏(ギャラリー広田美術)と伊波賢一氏(日本刀剣)に話を聞いた。

 

廣田登支彦氏(左 と伊波賢一氏

廣田登支彦氏(左)と伊波賢一氏

 

「2017東美アートフェア」は、茶器の優品や、与謝蕪村、尾形乾山といった美術館出品歴のある作品も出品され、日本美術の特に優れた流れも楽しむことができそうですね。

 

廣田登支彦氏(以下、廣田) 「東美アートフェア」は、昨年開催された「東美特別展」と、毎年2回開催する「東美正札会」の中間のようなアートフェアです。数多くの逸品をお楽しみいただけるとともに、日常で展示や使用できる茶道具や工芸、絵画などがご覧いただけます。

 

伊波賢一氏(以下、伊波) 1964年、東京オリンピックの年に誕生したのが「東美特別展」です。内外からお見えになるお客様に、美術商が日本の優れた作品を紹介しようと始まりました。選りすぐりの作品を用意するため、開催は3年に1回。それでは出展者が限られてしまうということで、1999年に「東美アートフェア」は始まりました。

 

「百十年の伝統と信頼」、これは他のアートフェアでは謳うことのできない文句です。

 

廣田 主催する東京美術商協同組合には、500人近い組合員がいます。組合に加入するには規約や審査があるので、誰でも加入することが出来るわけではありません。長年培ってきた信頼や、美術商としての経験も豊富なお店ばかりですので、安心してご覧いただきお買い物していただける貴重なアートフェアです。

 

伊波 それは多くの組合員が、自負として持っているでしょう。そして次世代に向け、東京美術倶楽部をもっと多くの方に知ってもらいたいと。美術各種の競演イベント、アートフェアは情報送受信の「アンテナショップ」でもあり、興味を持って下さった方がその後も、実際のお店に来て頂ければと願っています。

 

磯部光太郎《Biotop...》  (ギャラリーぐんじ)

磯部光太郎《Biotop 手紙を待つ》 (ギャラリーぐんじ)

 

昨年の「東美特別展」は、前回よりも来場者が約20%増となりました。これまで以上に広報活動へ力を入れた結果だと思いますが、この成果をどのようにとらえていますか。

 

廣田 東京美術倶楽部にはもっと大きな可能性があると思っています。それをしっかりと発信し、皆様に認知していただくことでもっと社会に役立つことが出来るのではないかと考えています。例えば近代絵画・工芸の美術品鑑定や著作権管理、公開美術講座など、今回のような催し以外にも美術品に係わる重要な活動を担っています。また国内外に日本美術を発信していくための重要な拠点となるポテンシャルを持っていると思っていますので、もっと成果が出ないといけないですよね。

 

伊波 刀剣でも、時代の流れにシフトしていきます。昔は刀があれば外装はいらないという方もいた。でも今は、外装もお求めになるので、その点を整えて展示しています。最近は初対面の方にも、「刀剣ブーム大変でしょ?」と言われることもあります。ご主人が刀剣をお好きでも、奥様が嫌悪感を抱きその魅力が伝わらないことがありましたが、ご婦人のご理解も増え、夫婦で楽しんで頂けたらと期待しています。ただブームには誤った情報もあるので、正しい情報を発信したいです。

 

奥西希生《伊勢》 (松本美術)

奥西希生《伊勢》 (松本美術)

 

では、実作を近くから眺めて、作品によっては手にとることもできる今回のような場は、美術品の貴重な勉強の機会ととらえることもできるかもしれません。

 

伊波 好きな作品を見つけたら、感じたことをお店の方に聞いてみるのはどうでしょうか。きっと、親切に教えてくれると思います。身につく知識も多いはず。それぞれのお店のファンが増えるとうれしいですね。

 

与謝蕪村《山水図》 (万葉洞)

与謝蕪村《山水図》 (万葉洞)

廣田 不思議なことに、自分が好きな作品を取り扱うお店の人とは気が合うことが多いと思います。「この作品いいね」と共感してくださるお客様がいたらとても嬉しいものなので、そう感じたらぜひ声を掛けていただきたいと思います。お店の方も喜んでいろいろと教えてくれると思いますよ。またそれは美術商にとっても大変勉強になることなので、とても有難いことなのです。

 

伊波 話を聞くとき、とくに知識は必要だと思いません。美術倶楽部は、歴史を重ねたからこその「伝統」があるし、「信頼」があったからこそここまで続いてきたとも言えます。これだけの屋台骨を、約500軒の美術商が所作をもって支えていくのは大変です。でも、それだからこその価値を、伝えていきたいですね。

 

北斎の「凱風快晴」や千住博「ウォーターフォール」など「知っている!」と楽しめる作品から、新出品という木喰の大日如来像など、発見のある展示が期待できます。

 

廣田 美術の世界はとても奥の深いものです。まだあまり興味のない方でも、102軒のブースを一度に見ることが出来るアートフェアならそのおもしろさを見つけられるかもしれません。きっとそれは、これからの人生にとって必ずプラスになると思いますので、ぜひ足を運んでみてください。

 

今回の「東美アートフェア」の直前、107日(土)に公開美術講座、横浜美術館 逢坂恵理子館長による「現代美術・享受する可能性」が開催されます。11月、12月には国立西洋美術館 馬渕明子館長による講座も予定しているそうなので、こちらもあわせて足を運んでみてはいかがでしょうか?

 

(取材協力:一般社団法人 アート東京)

 

【展覧会】 2017東美アートフェア

【会期】 2017年10月13日(金)~15日(日)

【会場】 東京美術倶楽部 東美ミュージアム(東京都港区新橋6-19-15)

【TEL】 03-3432-0191

【開場】 13日=11:00〜20:00 14日=11:00〜18:00 15日=11:00〜17:00

【料金】 一般1,000円 中・高・大学生800円 小学生以下無料

 

【出店】

1階

前坂晴天堂、古美術 あさひ、福田画廊、古川古美術、ウロコヤ横井商店、市田朝芳庵、古美術 木瓜、吉平美術店、丸ヱ大野商店、祥雲、寿屋、味岡松華園、遊心堂、古美術 ささき、清昌堂やました、髙野万洋堂、古美術かじ乙、万葉洞、井上オリエンタルアート、新古美術 助川、梶間商店、篠田商店、河善、飯田好日堂、西浦淥水堂、赤井南明堂

 

3階

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4階

宝満堂、茶道具商ながさか、那須屋、銀座 黒田陶苑、銀座美術、村越画廊、ギャラリー竹柳堂、田島美術店、ギャラリー長谷川、春風洞画廊、思文閣銀座、永善堂画廊、柳瀬美術店、宇野商店、高崎日吉堂、石黒商店、鈴木美術画廊、至峰堂画廊、松壽堂、田内好善堂、杉江美術店、美術舗 瀧川峰晴堂、大塚美術、古美術 下條、西楽堂、古美術 豊後堂、米近、松森、岡仙汲古堂、柳井美術、西邑画廊、松本美術、岸本画廊、双木、冨江洗心堂、齋藤紫紅洞、彩里堂、中西松豊軒

 

【関連リンク】 東京美術倶楽部 東美アートフェア

【関連記事】 「第20回東美特別展」-美術館クラスの名品との出会い

 

《チケットプレゼント》

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締切:10月9日(月)必着

 

 


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