10月14日まで東京都美術館で開催されている「第56回 現水展」。主催する「現代水墨画協会」は、水墨画家・根岸嘉一郎を理事長として、50年以上の歴史を持ち、古来よりの水墨画の伝統と先鋭的な時代感覚の融合を目指した水墨画の公募団体である。10月9日、同展の会場で女性作家4人によるライブパフォーマンスが行われた。
“水墨ueen(水墨クイーン)”と名付けられたそのグループは2015年6月に結成され、彼女たちの師である水墨画家・千葉玄象が率いる「全国平成水墨画協会」を主戦場として活動を展開してきた。“主戦場”と表現したのはあながち大袈裟ではない。伝統的な水墨の世界において、その存在は異色と言える。訝しむ者、好奇の眼差しを送る者、そうした逆風に抗いながら水墨界に新風を吹き込むべく、彼女たちは戦っているのだ。
見目麗しい4人が音楽に合わせて筆を走らせる。描き上げていくその様は気迫に満ち、観客の心を躍らせ、そして実際に出来上がった作品からは、彼女たちの技術の高さ、そして「墨」が本来持つ一回性、あるいは瞬間の美を感じさせられる。
「画風も目指している方向も違う4人。共通していることは水墨画の魅力をもっと広めたいということ。若い私たちがこういったパフォーマンスをすることで墨の世界に親しみをもってほしいし、水墨画をはじめるきっかけになれればいい」――水墨ueen
「水墨画の作家人口の減少が著しいなか、彼女たちが呼び水となって興味を持ってくれる人が増えたら嬉しい。彼女たちが新しい時代を作り、それに導かれる若い世代が増え、水墨界の中心となってほしい」――千葉玄象
千葉玄象を慕って集まった“水墨ueen”。根岸理事長をはじめとして、多くの水墨画家たちが期待を持って見つめる彼女たちの今後の活動や展開に注目していきたい。
第56回 現水展
【会期】2017年10月7日(土)~14日(土)
【会場】東京都美術館(東京都台東区上野公園8-36)
【TEL】03-3823-6921
【休館】無休
【開館】9:30~17:30(入館は閉館30分前まで)※最終日は15:00まで(入場締切14:30)
【料金】無料