3.11の記憶を繋ぐ―「IMAGINE FUKUSHIMA展」に伊藤隆介・山口啓介が参加

2018年02月01日 14:42 カテゴリ:最新のニュース

 

山口啓介によるカセットプラント作品《薔薇の箱、レストランのためのショウケース》BankART1929、2007年

山口啓介によるカセットプラント作品《薔薇の箱、レストランのためのショウケース》BankART1929、2007年

 

アートの力によって東日本大震災の復興支援を目指す「IMAGINE FUKUSHIMA展」の第4回展が、2月22日よりコート・ギャラリー国立で開催される。

 

今展は2012年にチャリティー展としてスタートし、現在2年に一度のペースで開催されている。主催は東京・国立市のギャラリー「ウォーターマーク・アーツ&クラフツ」。3.11から1年を迎えた2012年の3月、「自分たちにできることは小さいけれど、震災をずっと忘れないでいるために」と第1回展を国立市内のスペースで開催し、売上の30%にあたる¥478,880を被災支援団体へ寄付。出品内容は毎年異なり、第1回展は14名のアーティストが、第2回は11名のアーティストが参加し、第3回は現代美術作家の開発好明とダゲレオタイプの写真家・新井卓の2人展として開催された。

 

第4回を迎えた今回は「伊藤隆介×山口啓介 LOST & FOUND」と題し、映像作家・伊藤隆介と版画家・山口啓介の2人展を開催。伊藤隆介は映画やビデオ・インスタレーションを中心に制作し、国内外の映像フェスティバルや国際美術展で発表を重ねる。代表作《Realistic Virtuality / リアリスティック・ヴァ-チャリティ(現実的な仮想性)》シリーズは、「ミニチュアの撮影セット」として作成した模型部分と、それをカメラで撮影しながらスクリーンに映し出す映像作品からなるビデオ・インスタレーションで、我々を取り巻くメディア社会を視覚的・詩的に批評している。

 

山口啓介は、巨大な銅版画作品を制作し 1989年以降国内外の数々の賞を受賞。初期の頃から方舟や原子力をテーマに、《4つの黒船》《プルトニウムの輸送》《エノラ ゲイ》《原子力発電所シリーズ》などの作品を発表し続けている。今回は1997年にドイツで発案した、カセットケースの中に植物を保存し未来へその遺伝子を残していくことをコンセプトとした立体作品《カセットプラント》をギャラリーの大きな窓に設置。同作は花の美しさ、自然の作り出す形への讃歌でもあり、美や命を未来に伝える「方舟」として制作されている。また3.11後の記録を現在に至るまで毎日綴っている《震災後ノート》から、一部を抜粋して映像とともに展示する。

 

なお今展開催に向け、3月5日までクラウドファンディングを実施中。展覧会報告ZINEやフィルムコラージュ、アーティストの写真集など様々なリターンが用意されているので、ぜひホームページをチェックしてみてほしい。また展覧会開催前より、伊藤と山口による往復書簡もホームページ上で掲載されている。

 

 伊藤隆介《こんなことは無かった》児玉画廊収蔵

伊藤隆介《こんなことは無かった》児玉画廊収蔵

 

山口啓介《震災後ノート》

山口啓介《震災後ノート》

 

クラウドファンディングのホームページより 写真左:山口啓介 右:伊藤隆介

クラウドファンディングのホームページより 写真左:山口啓介 右:伊藤隆介

 

【展覧会】第4回IMAGINE FUKUSHIMA展「伊藤隆介×山口啓介 LOST & FOUND」

【会期】2018年2月22日(木)~3月6日(火)

【会場】コート・ギャラリー国立(東京都国立市中1丁目8−32)

【休廊】水曜

【営業時間】11:00~18:00(最終日は16:00閉廊)

【主催】ウォーターマーク・アーツ&クラフツ

 

【関連イベント】

■アーテイスト トーク 伊藤隆介+山口啓介+武居利史(府中市美術館学芸員)
3月4日(日)14:00~ ※無料、事前予約不要

 

■《カセットプラント》ワークショップ
2月24日(土) 13:30~ ※定員あり、要問い合わせ(info@watermark-arts.com / tel 042-573-6625 / WATERMARK 清水)

《カセットプラント》は音楽用のカセットケースの中に花や植物を樹脂で封印し、その遺伝子を保存し未来へ残していくことをコンセプトとした立体作品。ワークショップでは、実際に花や植物に触れながら、ギャラリーのガラス窓にカセットプラントを積み上げて設置し、インスタレーション作品を完成させる。

 

【関連リンク】IMAGINE FUKUSHIMA展

 

 


関連記事

その他の記事