戦後間もない1947(昭和22)年、三岸節子、森田元子、桂ユキ子、桜井浜江ら女流画家11人の発起人により「女流画家協会」は創設された。以来、今日に至るまで女流画家の活躍を支え続け、美術を介して女性と社会をつなぐ役割を担う同団体は、今日では総搬入点数1,000点をこえる美術団体に成長し、女流画家の地位向上と新人育成という理念のもと活発な活動を続けている。
女流画家協会展の大きな魅力と言えるのが、中学生から101歳まで幅広い世代の作家による華々しく多様な展示だ。基本的に「掛け持ち禁止」がルールの公募団体において、珍しく掛け持ちが認められている同会には独立美術協会や二紀会に所属する実力作家も多い。公募団体の高齢化が課題となっている昨今にあって、その展示空間は特に生き生きとした印象を受ける。
第72回展の開催を5月に控え、このたび新たな出品規定が発表された。大きな変更点は3つ。年齢制限をなくし、女性であれば出品できることに。また、25歳以下の出品料を5,000円(一般15,000円)とし、作品サイズを「10号F(53×45.5㎝)又はA2サイズ(42×59.4㎝)から」とした。同会の事務所代表を務める佐々木里加氏は現代美術のフィールドで発表を続けるほか、独立美術協会会員としても精力的に活動。「私はいわゆる団体展にどっぷり浸かっていないので、新しい角度から会を見られると思っています。団体展はこうでなければならないというような旧態依然とした考えでは、美術団体は淘汰されていく。自分が10代だったらどんな展覧会に出したいかということを最近よく考えています」と話す。
「一人で描いたっていいのになぜ団体展に出品するのかと聞かれれば、女流画家協会が本当に居心地のいい団体だからと答えます。家庭や周囲には言えなくても、ここでは皆女性同士で正直にものが言える。皆さん表現者ですから、作品でも言いたいことを表現する。自己解放の場になっているのだと思います。作風も画材もさまざまで実に自由です。他の女性たちの生き方も学べる。考え方も役立つ、理解し合える。ものすごく楽しいですよ。興味本位でも良いので一度出品したり、展覧会場にいらしたりしてみてください」。
第71回展で開催された無料ワークショップには、ニューヨークの美術学校Pratt Instituteに通うJuna Hewittさん(17)が参加した。幼い頃は日本に住み、よく美術館に足を運んでいたというHewittさん。東京に帰国したときは必ず美術館を巡り、昨年初めて女流画家協会展を鑑賞したという。「女流画家協会展は作品のスタイルやコンセプトの幅が広く、展示や作品以外にもワークショップもクオリティが高くて、画家の力になる会だと思います」。第72回女流画家協会展への出品も考えているそう。なお今回のワークショップ講師は、今年93歳になる委員の吉江麗子が務める。
出品作品からは、どれも女性のパワーを感じずにはいられない。自分も絵を描いてみようと思える、一緒に美術を楽しもうと語りかけてくるような作品が、女流画家協会展には並ぶ。
第72回展の公募概要は以下。
【出品資格】
女性であること
【分野】
洋画・日本画・水彩・版画(一人一部門に限る)
【一般出品】
一人3点まで(未発表作品に限る)
【出品料】
15,000円 ※25歳以下5,000円
【搬入受付】
2018年5月20日(日)10:30~16:00 東京都美術館内 女流画家協会展搬入所
【入選発表】
郵便通知 5月25日(金)9時以降ホームページ上で確認可
【授賞式】
5月29日(火)16:30~ 東京都美術館2階ミューズ(17:30より懇親会 会費5,000円)
※出品規定の詳細および搬入票・通知票・作品貼付票ダウンロードは同会ウェブサイトまで
【展覧会】第72回 女流画家協会展
【会期】2018年5月29日(火)~6月3日(日)
【会場】東京都美術館 ロビー階第1、2、3、4展示室・一階第4展示室(東京都台東区上野公園8-36)
【TEL】03-3823-6921
【開場】9:30~17:30(入場17:00まで)※最終日14:30閉会(入場14:00まで)
【会期中のイベント】
■各委員作品解説=5月30日(水)/31日(木)14:00~
■ワークショップ=6月1日(金)13:00~
■出品者作品講評会=6月2日(土)13:30~