【レポート】 真珠の耳と首飾りの少女&ツタンカーメン…この夏、上野の山は格別“熱かった”

2012年09月26日 11:27 カテゴリ:最新のニュース

 

新趣向のVIP「プレミアム鑑賞会」券は早々に完売!

 

9月に入っても日差しが強く暑かった今年の夏だが、上野の山の各展覧会状況も例年以上に“熱く”なった。ブーム頂点の感あるフェルメール作品が目玉となった東京都美術館と国立西洋美術館、関西でもブレークしたツタンカーメン秘宝の上野の森美術館は大盛況だ。青山杉雨展の東京国立博物館、契丹展の東京藝術大学にも人の波が押し寄せた。「マウリッツハイス美術館展」では新趣向、プレミアム鑑賞会チケットが早々と売り切れた。主な話題を取材した。

 

 

今夏、上野地区では“耳”飾りの少女「マウリッツハイス美術館展(略:マウ…)」(2012年6月30日~9月17日)、(首)飾りの少女「ベルリン国立美術館展(略:ベル)」(2012年6月13日~9月17日)が、大型共催展として開催された。主催する新聞社、テレビ局の盛んな露出のためか予想通りの大入りを記録した。
 

「マウ…」が8月末時点で54万293人、9月12日現在で67万4742人(※主催者の速報値、変更の可能性あり)、「ベル…」が8月末で28万9045人、9月12日で35万8412人となった。特に“耳飾り”は終盤になってからは平日でも朝から大入りの状況。最終的な入場者数は、それぞれ75万8266人、39万9312人を記録した。やはりフェルメール人気による大量動員は明らかだ。

 
目玉の両作品イメージが上野駅と美術館近辺の看板や柱に氾濫するようにあった。そのためか観覧者のなかには「青いターバン」こと“耳”飾りがあると勘違いして国立西洋美術館に入館してしまったケースもあった。「“耳飾りの少女”が出てないじゃないか!」と都美術館のほうに見当違いの不満を言ったとか。一方で2会場を梯子して観覧する相乗効果があったとする見方もある。

 

上野の森美術館では「ツタンカーメン展―黄金の秘宝と少年王の真実」(8月4日~12月9日)が、会期中無休で開催されている。8月末時点で21万3507人、9月12日現在で30万2千人を突破したそうだ。12月初旬までの開催でどこまで入場者数が伸びるのか。

 

こちらは先行して3月~7月にかけて開かれた大阪天保山特設会場では93万人余を動員、注目された。会場は連日、若者を中心に大勢の人出だ。展示会場としてはやや手狭なのか会場外に臨時グッズ売り場を開設、こちらもまた行列が出来るほどの人気ぶり。入場制限による長時間の行列待ちを防ぐため、主催者側では整理券方式をとった。仮に1~2時間待ちでもその間、近隣でお茶や買い物することも可能という訳で好評だ。

 

このほかに東博の「青山杉雨展」(7月18日~9月9日)が5万1327人、東京藝大大学美術館の「契丹」(7月12日~9月17日)は、9月12日現在で2万9507人だ。

 

この夏一番の話題はなんと言っても「マウ…」のVIP向けのプレミアム鑑賞会。8月お盆を除いた水曜夜4回、展覧会終了後の19時半から21時半にかけ行われた。夏前にJTBを通じて売り出されたチケットは6月29日までに早々と完売。1回500人限定。 内容は音声ガイド付き、都美術館学芸員による特別セミナー「マウリッツハイス美術館展をもっと楽しむために」、展覧会オリジナルグッズの引き換え(ミニチュアフェルメールと展覧会図録)、ドリンクサービス、時間内なら何度でも入場できる。以上全て込みでチケット価格は5千円と8千円の2種類。購入者の7割方が安いほうだったそうだ。来場者はカップルあり、熟年の夫婦、女子同士あるいは絵好きの人など様々な客層だ。カジュアルなスタイルでゆったりと鑑賞している雰囲気が印象的だった。

 

「新美術新聞」2012年9月21日号(第1291号)3面より

 

 


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