昨年開催された「没後40年 幻の画家 不染鉄展」(東京ステーションギャラリー・奈良県立美術館)によって、その謎めいた画業と作品の魅力が広く知られるようになった日本画家・不染鉄(1891~1976)。このたび、東京・銀座の永井画廊で、東京のギャラリーでは初となる個展が開催される。
不染鉄は京都市立絵画専門学校(現・京都市立芸術大学)にて学ぶ以前に、漁師をするなど珍しい経歴をもつ。戦前には帝展などで発表し、戦後は画壇を離れ奈良に暮らし制作した。緻密ながら豊かなスケール感を有し、海や山など一般的なモチーフでも、極めて独創的な世界をつくりあげた作家であった。
今展では、掲出作の「海1」のほか、「奈良風景1」(昭和20年代後半~昭和30年代前半)、「海2」(昭和30年代)など未発表の大作3点が大きな見どころである。また、40年ぶりに発見されたオリジナルリトグラフ版画「落葉浄土」「いちょう」の2種類は、84歳で亡くなる2年前の作品。ひとつの到達点であり、また特別な思いを感じとることも、できるかもしれない。
【展覧会】 不染鉄展
【会期】 2018年3月6日(火)~20日(火)
【会場】 永井画廊(東京都中央区銀座8-6-25河北新報ビル5階)
【TEL】 03-5545-5160
【休廊】 日曜
【開廊】 11:00~19:00
【料金】 無料
【関連リンク】 永井画廊